研究課題/領域番号 |
08405047
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 豊信 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00111477)
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研究分担者 |
津田 統 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10242041)
寺嶋 和夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30176911)
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キーワード | 立方晶窒化硼素 / プラズマプロセス / イオン衝撃 / 核生成・成長過程 / 低バイアス化 / 高周波スパッタリング / 運動量スケーリング |
研究概要 |
本年度は主として、高周波バイアススパッタリング法におけるcBN堆積環境の定量化と2段階堆積による低バイアス化を試みた。 (1)cBN堆積環境の定量化 cBN堆積における気相種(種としてイオン)の流束・エネルギー測定を質量・エネルギー分析器を用いて行った。イオン種は主としてB^+、N^+、N_2^+、Ar^+が観測されたが、そのいずれも高周波シースで加速されたイオンに特徴的な鞍型のエネルギー分布を示した。流束はAr^+が他のイオンの数10倍以上であり、イオン衝撃効果は主としてAr^+によるものと考えられる。これらの測定から、cBN生成に必要なイオン衝撃の程度を単位堆積B原子当たりに与えられる運動量輸送量で評価したところ、138(eV・amu)^<1/2>が敷居条件となり、イオンアシスト蒸着法による報告値とほぼ同程度の値となった。この結果は、高周波スパッタ環境における135eV〜380eVのAr^+がエネルギーに依らず等しくcBN生成のためにイオン衝撃効果に寄与していることを示唆している。 (2)核生成・成長独立制御(2段階堆積)による低バイアスcBN堆積 基板負バイアス200VでBN堆積を行い(第1段階)、cBNが核生成した後に敷居バイアス値(135V)より35V低いバイアス条件(第2段階)でBN堆積を行った。この条件においてsp^2結合相との混合相ではあるがcBN相が生成することが明らかとなり、高周波バイアススパッタ法においても2段階堆積による低基板バイアス下でのcBN堆積が可能であることが判明した。今後、2段階堆積法におけるcBN生成条件の定量化を試みるとともに、バイアスの他に基板温度、ガス組成等についても2段階堆積を試みる。また、これらの結果と、応力、結晶粒径、結晶性等との関連を検討し、cBN薄膜の高品位化を目指す。
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