研究分担者 |
壹岐 伸彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50282108)
大井 秀一 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (00241547)
服部 徹太郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70241536)
玉井 康文 日本大学, 工学部, 助教授 (90171884)
井上 祥雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005518)
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研究概要 |
1. ε〜θ-ケトエステル類の遠隔不斉誘起求核付加反応 2'-位に3-(2-メトキシエトキシ)プロポキシ基を導入した1,1'-ビナフタレン-2-オールを不斉助剤とするε-ケト酸エステルへのGrignard試薬の1.9-遠隔不斉誘起求核付加反応では、ジブロモマグネシウム存在下、80%de以上の高い不斉収率で対応するヒドロキシ酸エステルを与えた。しかし、ζ-ケト酸エステルに対する同様の1,10-不斉誘起求核付加反応は、不斉助剤の2'-位オリゴエーテル基を種々変化させても低不斉収率に留まった。これに対し、1,1'-ビ-2-ナフトールを不斉助剤とし、そのω-ケト酸モノエステルヘGrignard試薬を反応させると、ε-ケト酸エステルでは不斉選択性は低かったが、ζ〜θ-ケト酸エステルでは、80%de以上の高い不斉選択性で1,10〜1,12-遠隔不斉誘導が達成されることを見出した。 2. ^<13>CNMRによるキレート錯体の観察と不斉誘導機構の考察 1. で述べた2'-位にオリゴエーテル基を導入した前者の反応系においては、基質のケト酸エステルがジブロモマグネシウムに配位して擬環状のキレート錯体を形成することにより、高選択性が達成されることが、^<13>C NMRによる錯体の観察により明らかとなった。ζ-ケト酸エステルの場合には、ケト基とエステル基の間の炭素鎖が長く、一つのマグネシウムイオンへのキレート型配位が困難なため、不斉選択性が低いものと考えられる。これに対し、1,1'-ビ-2-ナフトールのモノエステルを用いる後者の反応系では、二量化したGrignard試薬が基質とアルコキシド型のキレート錯体を形成し、ケト基とエステル基が二つの異なるマグネシウムに安定に配位するため、超遠隔位での不斉誘導が可能となったと考えられる。
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