研究課題/領域番号 |
08405062
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久能 和夫 九州大学, 工学部, 教授 (90128009)
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研究分担者 |
境 昌宏 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (20301963)
小野 幸生 九州大学, 工学部, 助教授 (90038092)
宇田 暢秀 九州大学, 工学部, 助教授 (20160260)
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キーワード | 複合材料 / 疲労 / 剥離進展 / 超音波探傷 / 損傷 / 破損モード / PEEK母材 / エポキシ母材 |
研究概要 |
複合材積層板の疲労損傷機構を明らかにすることを目的として、航空宇宙分野を始めとして一般に広く利用されている擬似等方性積層板の一軸引張疲労試験を実施し、疲労損傷過程を調べた。擬似等方性積層板の積層構成は、[+30/-30/90]_s、[+30_2/-30_2/90_2]_s、[-45/+45/0/90]_s、および[-45_2/+45_2/0_2/90_2]_sである。さらに構成層厚さを増したものとして、[-45_3/+45_3/O_3/90]_sについても実験を行った。疲労損傷様式はいずれの積層板においてもほぼ同様であり、積層板中央面である90゚/90゚層間を起点にして自由縁層間剥離が発生した。積層角が同一の層構成でも、各層の厚さが厚い積層板ほど、小さい繰り返し負荷ひずみで自由縁層間剥離が発生することがわかった。ひずみエネルギー解放率を用いて、剥離発生のひずみの臨界値を予測したところ、実験結果と非常によい一致が得られた。90゚/90゚層間の剥離は90゚層内のトランスバースクラックを伴い、90゚層内をジグザクに蛇行しながら試験片長さ方向に一気に進行した。自由縁層間剥離は負荷繰り返し数が増すとともに、試験片の幅方向へ徐々に進展していった。剥離の試験片幅方向進展量と積層板の剛性低下量は線型関係になることが実験から明らかになった。この線型関係は、研究代表者らが提案している一般化準三次元古典積層板理論を用いて求めることができる。繰り返し負荷中のひずみの大きさから計算されるひずみエネルギー解放率の振幅には、剥離の進展率あるいは、剛性低下率との間にべき乗則が成り立ち、[+30n/-30n/90n]_s積層板ではnによらず、同一のべき乗関係式になることが明らかになった。
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