研究概要 |
最終年度である本年度は,構造解析システム(有限要素法解析:Finite Element Method Analysis)の導入と統合化を検討した。昨年度(平成9年度)までの研究成果によって,基本計画支援システムと船体運動解析システムが設計支援システムと統合化されており,これによって構造解析に必要な船に加わる波浪外力などの算出が可能となっている。さらに,求められた外力は,システムに実装された情報変換機能によって構造解析において必要となる荷重情報に変換される基本概念が整理されている。そこで本年度は,構造解析システムの統合化に取り組むことによって,船体運動解析システムと構造解析システムの統合化を実現することを中心に研究を進めた。構造解析としては汎用の有限要素法解析プログラムの利用を考え,実際に計算機上で造船設計における統合CAEシステムのプロトタイプシステムを構築した。本年度で得られた研究成果を以下に整理する。 (1) 構造解析支援システムの構築と統合化 船体構造の構造解析を支援するために,研究代表者らが提案している製品モデルの情報を有効に利用した構造解析支援システムを構築した。具体的内容は,製品モデルの情報として定義されている構造部材の形状情報と板厚や材質などの属性情報を利用して,有限要素法解析で必要な有限要素データを自動生成し,設計者の情報作成の効率化を支援するシステムを構築した。 (2) 解析モデル間における情報の変換方法の検討 船体運動解析システムで生成された情報(外力情報)を,構造解析システムの荷重情報として有効に利用するために,船体運動解析システムの出力結果と製品モデルが管理している情報を利用して構造解析システムで必要とされる荷重情報などの解析情報を生成する処理方法を検討し,実際にシステムに実装した。
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