研究概要 |
本年度は,1)昨年度作製した試験装置を用いて,コアディスキングの発生条件と形態に関する実験的研究を行うとともに,2)三次元ネットワークモデルによるシュミレーションを行った。前者については,2種類の岩石試料(白河溶結凝灰岩,来待砂岩)について,予めボーリングコア(直径19mm,長さ150mm)を作成したブロック試験片(300mm立方体)に,コア軸がz軸としてσ_x≧σ_y,σ_z≧0の条件で応力を加え,コアディスキングの発生過程を調べた。また,後者については,モデルの一様性と等方性をできるだけ保証する軸対称モデルを構築し,上記と同様の応力条件でコアディスキングのシュミレーションを行った。得られた主な結果は次の通りである。 1.応σ_xを増加すると,ある応力でコアが傾き始め,次に,応力を増加しなくてもコアが傾き続ける点が現れた。これらを,それぞれ,破壊開始応力,不安定成長開始応力と呼ぶと,昨年度の引張主応力解析から得られたディスキング発生条件は,白河溶結凝灰岩についてはほぼ破壊開始応力を与えるが,来待砂岩については不安定成長開始応力よりも大きな応力条件に対応した。破壊面の形状をコア側から見ると両岩石とも全ての応力条件で下に凸であった。しかし,来待砂岩の場合,σ_xがσ_yより大きくなるほど,凸部が大きくなるとともにσ_y方向に大きな切り株が生成した。このσ_y方向に大きな切り株はビット底部での圧縮破壊の影響と考えられた。 2.三次元ネットワークモデルによるコアディスクングのシュミレーションの結果,σ_x=σ_yの条件ではコア底部側面からコア軸に垂直なき裂がある長さ不安定成長した後停止し,σ_x≧σ_yの条件ではき裂はσ_x方向から発生するが不安定なき裂成長は起こらなかった。すなわち,き裂はゆっくり進展すると予想された。これは上記の実験結果と調和的であった。
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