研究概要 |
本研究は、配偶子致死染色体を利用して、パンコムギに添加されているオオムギ染色体に欠失や転座などの染色体構造変位を誘発し、DNAマーカを用いた欠失地図作製(deletion mapping)を行い、特定の狭い染色体領域にDNAマーカを位置付けようとするものである。本年度の成果は以下の通りである。 1.オオムギ7H染色体の物理的地図作製 これまでに7H染色体の約120の欠失及び転座を同定したが、そのうち7H染色体の構造変異がヘミ接合(正常7H染色体が存在しない)状態になっている約40系統について、ドイツ国のDr.G.Kunzel(Institute of Plant Genetics and Crop Plant Research,Gatersleben,Germany)の研究グループとの協同研究によりRFLP(restriction fragment length polymorphism)のSTS(sequence-tagged site)マーカー及びAFLP(amplified fragment length polymorphism)マーカーの染色体地図作製を行った。現在、結果を論文に投稿する準備をしている。 2.オオムギ4H染色体の構造変異の大規模誘発 2種類の配偶子致死染色体を利用して4H染色体の欠失及び転座を誘発し、分子細胞遺伝学的に同定した。4H染色体の構造異常を持つ個体は正常パンコムギで戻し交雑し、マイクロサテライトをマーカーにした染色体地図作製に供試できるようにした。
|