研究概要 |
1. DIG標識オリゴDNAプローブを用いたCMV全ゲノムRNAのsubgroup特異的検出法は既に開発済みである.今年度は各分節ゲノムRNAごとのsubgroup特異的検出法について検討し,RNA1および3,4検出用プローブの作製に成功したが,RNA2用プローブについてはさらに検討を要する結果であった。 2. CMV-YとCMV-m2の2系統を用い,1次ウイルス接種の14日後4〜5枚上位葉に2次ウイルスを接種し,2次ウイルス接種葉をその7日後,最上位葉を32日後に採取した.それらの試料における各系統のRNAの蓄積について,dot blotおよびnorthern blot hybridizationにより検討した.CMV-m2を1次ウイルスとした場合,2次ウイルス接種葉では多くの個体で,また,CMV-Yの病徴が現れた干渉効果の不完全な全ての個体の上位葉においてもCMV-Y RNAの蓄積が認められた.一方,CMV-Yを1次ウイルスとした場合,いずれの場合もCMV-m2 RNAの蓄積は全く認められなかった.これらの結果は、subgroup Iの感染が成立した組織ではsubgroup IIの感染・増殖が逆の場合に比較してより強く抑制されることが示された. 3. Subgroup Iのマメ科系CMV(CMV-LE)の全ゲノムRNAのin vitro転写物からLLL(CMV-LE RNA1-3)とシュードリコンビナントLLm(CMV-LE RNA1,2+CMV-m2 RNA3)とを調製し.タバコを用いてウイルスを純化した.これらを用いてササゲにおける同時混合接種試験を行い,CMV-LE RNA1,2の制御下におけるCMV-LE RNA3とCMV-m2 RNA3間のウイルスの移行蓄積に関する競合の有無を検討した.その結果,同時混合接種区の接種葉ならびに上位第1-3葉において,CMV-LE RNA3の移行蓄積はLLL単独接種区と同程度に推移したが,CMV-m2 RNA3のそれはLLm単独接種区と比べて著しく抑制されていた.このことにより,CMV-LE RNA1,2の制御下でCMV-LE RNA3はCMV-m2 RNA3よりも優位にウイルスの移行蓄積に関与することが示された.
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