研究概要 |
1.昨年度は,Subgroup Iのマメ科系CMV(CMV-LE)の全ゲノムRNAのin vitro転写物からLLL(CMV-LE RNA1-3)とシュードリコンビナントLLm(CMV-LE RNA1,2+CMV-m2 RNA3)とを用いたササゲにおける同時混合接種試験を行たが,今年度は全てのCMVに対して全身感染するササゲ品種PI189375を用いたCMV-LEとCMV-m2の同時混合接種を行った.接種葉全体のpress blotを作製し,subgroupI特異的probe を用いたnorthern hybridizationの後,subgroupII特異的probeによるreprobingを行い,両subgroupのCMVそれぞれの組織内分布について検討した.その結果,接種葉においてはそれぞれのウイルスの第1次感染点を中心とした棲み分けが行われていると推察された.ササゲ上位葉においてはm2由来のRNAの蓄積が著しく抑制されており,これまでのタバコやササゲ品種黒種三尺を用いた結果と同様であった.また,PseudorecombinantであるLLmとCMV-m(mmm)を接種した場合では,接種葉においてLE由来のRNAの蓄積が著しく抑制されたことから、CMVゲノム間の親和性は同一subgroup間の組み合わせにおいて高い可能性が示唆された. 2.植物ウイルスの干渉効果の機構を細胞レベルで追及するため,CMVに感染したタバコ葉から遊離細胞およびプロトプラストを調製し,subgroup特異的DIG標識合成DNAをprobeとして用いたin situ hybridization技法の確立を目指す実験を行った.植物細胞の場合は動物細胞と比べて種々のbackground signalがでやすいことが分かり,細胞の固定法やprehibridizationの条件について詳細に検討した.その結果,固定にはFAA処理,prehibridizationにおいてはサケ精子DNAの添加と処理時間の延長が有効であることが判明した.
|