研究概要 |
1.ダニ類の天然物化学と化学生態学 コフキコガネ成虫の鞘羽根の内含浸に付着したヒポプスとして採集できるネダニ亜科ゴミコナダニ属未同定種の性フェロモンとして(2R,3R)-2,3-エポキシ-3,7-ジメチル-6-オクテナ-ルを単離した。(2R,3R)-体とその対掌体を合成して,天然物は(2R,3R)-2,3-エポキシ-3,7-ジメチル-6-オクテナ-ル同定し,(2R,3R)-エポキシネラールと命名した。沖縄産ネダニ亜科ネダニ属の未同定種の後胴体部腺分泌物の成分として,新規モノテルペンを単離した。機器分析により構造を4-イソプロペニル-3-オキソ-1-カルボキシアルデヒドと決定し,イソロビナ-ルと命名した。ネダニ亜科ネダニ属の農業害虫であるロビンネダニの警報フェロモンは蟻酸ネリルと判っている。同属の3種の警報フェロモンを新しく蟻酸ネリルと同定した。中気門亜目イトダニ科のコブモチハサミダニに黄色の分泌物を認め,2種類のナフトキノンを主成分として同定した。 2.昆虫の化学生態学 鱗翅目オオゴマダラのメスはオスのヘヤ-ペンシルに含まれる性フェロモンにより,オスに接近する。オスのヘヤ-ペンシルに含まれる成分16化合物を同定し,生物試験でそのフェロモン活性を確認した。チャバネゴキブリの摂食刺激活性を評価する,ポリエチレングリコール薄膜法を開発した。この方法で糖類や脂肪族アルコール類を調べ,マルトースが強い活性を示すことを確認した。チャバネゴキブリの誘引性集合フェロモンとして,アミン類が知られている。誘引活性が持続するためにはアミン類が塩を形成して,徐放されることが確認された。またアルキルアミン酸やアミノアルコール類のフェロモン活性が評価された。
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