研究概要 |
警報フェロモン及び性フェロモンとして以外にも多くのダニで見つかる2-ヒドロキシ-6-メチルベンズアルデヒドの簡便で異性体混入のない合成法を確立した。またこの化合物の誘導体として27化合物を合成あるいは入手して,2種類のダニで、その性フェロモン活性の比較し,活性スペクトルにそれぞれで相違のあることを確認した。ゴミコナダニ類の性フェロモンは雌雄両方に存在し,雄だけが感知して配偶行動を起す。同属4種のダニで性フェロモンを同定し,雌雄間の存在量を比較すると,性フェロモンとして発達してきた進化の過程が推測できる結果となった。ミトコンドリア・シトクローム酸化酵素サブユニット1の遺伝子断片を取りだし,その分子系統樹を作成すると,フェロモンの発達過程が理解でき,ゴミコナダニ類での性フェロモンの進化過程の一証拠を提出できた。ケナガコナダニの1種から警報フェロモンとしてβ-アカリジアールを単離同定し,ケナガコナダニ属5種がすべて異なる成分を警報フェロモンとして利用している実態を証明できた。またケナガコナダニの新規成分として関連物質のβ-アカリオライドを単離し,合成により同定し命名した。 カブラハバチの幼虫は十字花植物の害虫である。成虫はなぜかクサギの葉上に集まり葉面を舐める。クサギの成分クレロデンドリン類を摂取し一部代謝して,性フェロモン及び防御物質として使っている。クサギの成分を調べ新規成分を単離した。その構造を解明しアジュガタカシンA及びBと命名した。またコクサギに含まれるアゲハチョウの摂食忌避物質を単離し,同定に成功した。 雄チャバネゴキブリは背板腺から雌に好んで摂食される成分を分泌し,雌がその摂食に夢中になっている間に交尾を成功させる。この摂食活性成分を単離し,オリゴ糖9種以上からなる混合物と同定した。ベイト剤に活用できると期待している。
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