研究課題
今年度の研究業績は以下の通りである。1.混交複層林化したスギ人工林の林分構造に関して、成長後長期間粗放な管理を行ってきたことによって広葉樹が萠芽、侵入し針広混交林化したスギ人工林の林分構造を明らかにするとともに、その林分構造の変化にスギの地位がどのように影響したかについて検討した。2.林分成長の測定に関して、東京大学千葉演習林に設定された森林試験測定地では長期間に渡って測定を継続しているが、このうちスギ、ヒノキ人工林の試験地8箇所において1976年から1996年までの間に測定した結果について報告した。3.スギ・ヒノキ高齢林の経営的研究に関して、東京大学千葉演習林の高齢林を対象として実践的立場から今後の経営方針を検討し、これまでの経営の主体であった一斉皆伐再造林のみならず環境保全を考慮した複層林施業および二段林施業の導入が重要であると判断された。そこで、100年生スギ林分をモデルとして、環境保全型間伐法(本数間伐率40%)、複層林施業型間伐法(本数間伐率70%)等を実施したと仮定し120年生までの林分成長・林分変化を予測した上で、これらの結果をもとに第11次試験研究計画(平成9〜16年度)へ複層林施業および二段林施業を取り入れるために労務計画等具体的な経営要素を策定した。4.ヒノキースギ二段林における上木の間伐に伴う下木への影響に関して、調査区として1981年にヒノキ林を間伐し、翌年スギの樹下植栽を行い、1996年に再度上木の利用間伐を行った経歴を持つ二段林をとりあげ、二段林の上木を利用間伐したとき、上木の収穫に伴う伐倒、搬出が下木に与える損傷等について調査を行った。
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