研究課題/領域番号 |
08406014
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤尾 芳久 東北大学, 農学部, 教授 (80023422)
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研究分担者 |
池田 実 東北大学, 農学部, 教務職員 (70232204)
中嶋 正道 東北大学, 農学部, 助教授 (20192221)
木島 明博 東北大学, 農学部, 教授 (50161451)
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キーワード | 自然集団 / 人工種苗 / 系統 / RAPD分析 / アイソザイム分析 / 遺伝的変異性 / 遺伝的分化 / 耐性 |
研究概要 |
魚類のミトコンドリアDNAのPCR分析法および貝類からのDNA抽出法、アイソザイム分析による魚類、貝類、甲殻類の自然集団、人工種苗の遺伝的特徴と、グッピ-の実験集団の量的集団の量的形質の系統差について検討した結果、 (1)フナ、ヒラメのmtDNAのDループ領域の増幅に成功し、この領域のRFLP法がこれらの集団構造の解析に有効であることを明らかにした。 (2)ホタテガイの閉殻筋からTNES-Urea法によって、簡便、迅速にDNAを抽出することができた。 (3)イワナ集団について、アイソザイム分析とRAPD分析を行い、アイソザイム分析によって示された集団内の変異性(平均ヘテロ接合体率)および集団間の遺伝的分化の程度(遺伝的距離)がRAPD分析による個体間の遺伝的差異(非類似度)とよく一致することを明らかにした。またRAPD分析が集団内の遺伝的整一性の程度を調べる上で有効な指標となりうる事が示された。 (4)アイソザイム分析によってヒラメ天然集団の遺伝的組成を過去と現在とで比較した結果、全体的な変異性の程度には大きな差異はみられないが、現在の天然集団の地域間の遺伝的差異の程度が過去に比べ大きくなっていることが明らかになった。この要因として、人工種苗の加入の程度が地域によって異なっていることが考えられた。 (5)宮城県の一湖沼におけるフナの遺伝的組成をアイソザム分析とRAPD分析によって検討したところ、雌性発生していると考えられる2つのクローンと有性生殖で繁殖を行っていると考えられる1集団から構成されていることが明らかになった。 (6)陸封性のミナミヌマエビ集団と両側性のミゾレヌマエビ集団のアイソザイム分析を行い、両者の遺伝的変異性と遺伝的分化の程度について比較を行った。その結果、ミナミヌマエビでは集団内の変異性が大きくふれ、集団間の分化程度も大きなものとなった。一方、ミゾレヌマエビでは集団内の変異性に大きな差異はみられず、分化程度は小さいことが明らかにされた。 (7)ホタテガイの天然採苗集団の成長に伴う遺伝的組成の変化をアイソザイム分析により検討したところ、稚貝期はホモ接合体過剰を示すが、成長に伴ってその傾向が減少することを明らかにした。稚貝期のホモ接合体過剰は繁殖集団の混合、成長に伴うホモ接合体の減少はヘテロ個体の優位性を示していると考えられた。 (8)グッピ-の温度耐性について、その遺伝支配の存在を系統差から検討した結果、温度耐性には系統差がみられ、温度耐性が遺伝支配を受けていることが示された。 (9)交配実験により、グッピ-の塩分耐性にヘテロシス効果と母性効果が関与していることを明らかにした。
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