研究課題/領域番号 |
08406015
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京水産大学 |
研究代表者 |
渡邉 武 東京水産大学, 水産学部, 教授 (60017051)
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研究分担者 |
舞田 正志 東京水産大学, 水産学部, 助手 (60238839)
岡田 茂 東京大学, 農学部, 助手 (00224014)
佐藤 秀一 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (80154053)
竹内 俊郎 東京水産大学, 水産学部, 教授 (70092591)
山中 英明 東京水産大学, 水産学部, 教授 (20092596)
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キーワード | ブリ / 親魚飼料 / ソフトドライペレット / オキアミミール / アスタキサンチン |
研究概要 |
平成7年度までの研究により、ブリの親魚養成飼料として新たに開発したブリ用ソフトドライペレット(SDP)が有効であり、従来の生餌やモイストペレット(MP)より卵質改善に優れていることが明らかになった。またSDPに10%配合したオキアミミール(KM)中に含有されるアスタキサンチン(Astx)と卵質との関連性が示唆されたので、KMを0,20および30%配合したSDPでブリ親魚を飼育し、卵質に対する効果を試験した。その結果、産卵量、卵質ともにKMの配合割合の増加にともない低下する傾向がみられ、卵質に対するAstx過剰添加の影響あるいはKMに含まれる他の物質の影響が示唆された。 そこで、平成8年度はKMの代わりにAstxを添加し、その結果をより明確にすることを目的に試験を実施した。すなわち、Astxを0,20,30および40ppm添加したSDPを作製し、3歳のブリ親魚を産卵前約5ヶ月間、海面の小割生簣(5x5x5m)で養成した。産卵期の3月下旬に陸上の産卵水槽(65トン)に各区の親魚を移送し、ホルモン(HCG)注射の後自発産卵に供した。その結果、産卵量はAstxの添加量に比例して増加し、30ppmで最大に達し、40ppm添加区では明らかに減少した。卵質(浮上卵率、受精率、ふ化率、正常ふ化仔魚率等)にも同様の傾向がみられ、いずれのパラメーターもAstxの添加量の増加により向上し、やはり30ppm添加区で最大に達し、40ppm添加では明らかに低下した。同一の親魚群を用いて人工授精による産卵試験を実施したが、自発産卵による試験結果と同様、産卵量および卵質ともにAstxの添加により改善され、30ppmで最高に達し、40ppmでは低下した。 このように今回の試験結果により、ブリの産卵および卵質の改善にAstxが有効であり、SDPへの適正添加量は30ppm前後と推察された。これらの成果はマダイで得られた結果とほぼ一致するものであった。
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