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1997 年度 実績報告書

哺乳類初期胚の遺伝子発現と発生に関する分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 08406019
研究機関京都大学

研究代表者

山田 雅保  京都大学, 農学研究科, 助教授 (10243073)

研究分担者 南 直治郎  京都大学, 農学研究科, 助手 (30212236)
酒井 裕  京都大学, 農学研究科, 助教授 (60089117)
キーワード胚性ゲノムの活性化 / 胞胚腔形成 / NFKB / レドックス制御 / 一酸化窒素ラジカル
研究概要

哺乳類初期胚の重要な遺伝子発現時期のひとつは、胚性ゲノムの活性化(ZGA)時期である。ZGAの時期は動物種によって異なるが、マウスでは主に2細胞期で起こることが知られている。またマウス胚の体外培養において、この時期に一致して胚の発生ブロックが起こることが知られている。もうひとつの重要な遺伝子発現時期として、哺乳類の最初の分化が誘導される桑実期から胚盤胞期までの期間である。本研究プロジェクトは、ZGAの時期や胚の分化誘導時期においてどの様にして発生の調節がおこなわれているのかを解明することにある。これまでに、胚発生がレドックス制御を受けていることから、細胞の増殖と機能のレドックス制御の中心的役割を果たしている転写因子のひとつであるNF-kappa B(NFKB)の活性化型が、ZGA時期の胚の核内に局在することを明らかにしている。本年度では、NFKBの核内への移行(活性型の存在を示す)時期とその発生との関連について検討した。細胞周期を同期化した1細胞期胚および2細胞期胚をNFKBに対する抗体を用いた間接蛍光免疫抗体法で染色し共晶点レーザー顕微鏡で観察した結果、NFKBは細胞周期のG1期に特異的に核内へ移行することが明らかになった。さらに、その核内への移行を特異的に阻害するNアセチルシステイン(NAC)で1細胞期胚を処理した結果、NFKBの核内への移行が阻止されると共に、1細胞期胚は2細胞期で発生を停止することから、NFKBは2細胞期から4細胞期への移行に重要な働きを持つことが示唆された。一方、一酸化窒素合成酵素阻害剤であるL-N-iminoethylornithine(L-NIO)でマウス8細胞期胚を処理することによって、桑実期から胚盤胞期への発生が特異的に阻止されることから、胞胚腔形成には一酸化窒素ラジカル(NO)が重要な役割を果たしていることが示唆された。今後、1細胞期胚におけるNFKBによって発現が調節される遺伝子や桑実期においてNOによって発現が調節される遺伝子についてDifferential display法等の手法によって解明する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 山田雅保: "近未来に向けての動物発生士学" 化学と生物. 35・3. 229-233 (1997)

  • [文献書誌] 山田雅保: "クローンヒツジはこうしてつくられた" 化学. 52・8. 12-15 (1997)

  • [文献書誌] Parnpai,R.: "Effects of different types of feeder cells and developmental stages of enbryos of the proliteration of bovine ICM cells in vitro" Japanese J,Embryo Trans.19・3. 175-184 (1997)

  • [文献書誌] 錦見 昭彦: "H-Y抗原とコードする遺伝子Smcyの産物を認識する抗ペプチド抗体作様の試み" 日本胚移植学雑誌. 19・2. 111-116 (1997)

  • [文献書誌] 錦見 昭彦: "総説:H-Y抗原" 日本胚移植学雑誌. 19・3. 185-193 (1997)

  • [文献書誌] Yamada,M.: "Reproductive Biology Update" Nakanishi Printing Co.,Ltd.Kyoto,Japan, 10 (1998)

  • [文献書誌] Nishikimi,A.: "Reproductive Biology Update" Nakanishi Printing Co.,Ltd.Kyoto,Japan, 5 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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