研究課題/領域番号 |
08406020
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
喜田 宏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10109506)
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研究分担者 |
高田 礼人 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (10292062)
伊藤 壽啓 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00176348)
岡崎 克則 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90160663)
藤田 正一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)
前出 吉光 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (40002084)
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キーワード | 病原性 / インフルエンザウイルス / 血管内血液凝固 / モノクローナル抗体 / ニューキャッスル病ウイルス / F蛋白 / HN蛋白 / 温度感受性 |
研究概要 |
インフルエンザウイルス感染ニワトリ胚の尿膜抽出液をニワトリの静脈内に注射すると直ちに斃死することを確認し、その致死が血管内血液凝固に基づくものであることが判明した。本因子を陰イオン交換HPLCおよび塩析法によって濃縮精製する系を確立した。粗精製致死因子をマウスに免疫して、モノクローナル抗体11クローンを作出した。マウスの免疫血清は致死作用を中和した。これまでのところ致死因子を中和するモノクローナル抗体は得られていない。現在、得られたモノクローン抗体を用いて致死因子をさらに精製している。 ニワトリの鼻腔内にインフルエンザウイルス強毒株と弱毒株を実験感染させ、経過を追及した。強毒株はウイルス血症を起こしたが、弱毒株はウイルス血症を起こさなかった。現在、上記の致死因子とインフルエンザウイルス強毒株感染による症状発現機構の関連を明らかにするため、感染鶏における血液凝固系因子の動態を解析中である。 ニューキャッスル病ウイルスの病原性に関与する因子を明らかにするため、弱毒株ワクチン株(TCND)と強毒親株の生物および遺伝子性状を比較した。TCNDの膜融合(F)蛋白は親株と同様易開裂型であったことから、TCNDの弱毒化にはF蛋白の開裂性は関与しないことがわかった。ウイルスの吸着に関与するHN蛋白の感染細胞の細胞膜への輸送が温度感受性を示したことから、TCNDの弱毒化は温度感受性変異によるものと考えられた。一方、温度感受性変異復帰株はニワトリ胚に対する病原性は復帰したが、ニワトリに対する病原性は一部回復したのみであった。TCNDおよび温度感受性変異復帰株のF蛋白には共通のアミノ酸置換が認められ、各々の膜融合活性は増殖温度にかかわらず強毒親株に較べて極めて低かった。したがって、ニューキャッスル病ウイルスのニワトリに対する病原性には膜融合活性が関与するものと考えられる。
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