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1998 年度 実績報告書

動物ウイルスの感染と発症の分子機構、特に病原性発現に関与する宿主細胞因子の解析

研究課題

研究課題/領域番号 08406020
研究機関北海道大学

研究代表者

喜田 宏  北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (10109506)

研究分担者 高田 礼人  北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助手 (10292062)
伊藤 壽啓  鳥取大学, 農学部, 助教授 (00176348)
岡崎 克則  北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (90160663)
藤田 正一  北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (10143314)
前出 吉光  北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (40002084)
キーワード病原性 / インフルエンザウイルス / 血管内血液凝固 / ニワトリ / マウス / ヘマグルチニン
研究概要

1997年に香港でヒトから分離されたH5N1インフルエンザウイルスA/Hong Kong/156/97(HK156)およびA/HongKong/483/97(HK483)を用いて強毒インフルエンザウイルスの病原性発現と宿主域に与る因子を解析した。
HK156およびHK483はニワトリに致死的感染を惹き起こした。HK156を接種したニワトリでは全身臓器で血管内皮細胞の損傷を認めた。また、脾臓でのリンパ球壊死、心外膜から筋層にかけてのリンパ球の浸潤と血管変性、膵臓外分泌細胞の広範な壊死、脳の多発性巣状性グリオーシスないし壊死および末梢栓球数の減少が認められた。損傷した血管内皮細胞中にはウイルス抗原が検出されたことから、これらのウイルスの標的が血管内皮細胞であることが明らかになった。ウイルス感染によって血管内皮が損傷剥離した箇所に栓球が集積し、末梢血中の栓球が減少したと考えられる。栓球および血管内皮細胞から様々な血液凝固因子が放出され、結果的に汎発性血管内凝固症候群を起こし、ニワトリを死に至らしめるものと考えられる。この成績はインフルエンザウイルス感染鶏胚奨尿膜から抽出した細胞因子がニワトリに血管内凝固を起す事実と一致する。
一方、マウスに対する病原性はHK156とHK483の間で差が認められた。HK156は肺に到達するように接種しなければマウスに対して致死的ではなかった。一方、HK483は上部気道に接種すれば致死的感染を引き起こした。両ウイルス間のマウスに対する病原性の違いは、感染が上部気道の局所に留まらず、下部気道にまで拡大して肺炎ならびに全身感染を引き起こすか否かによると考えられた。いずれのウイルスもそのヘマグルチニン(HA)が易開裂型であることから、この病原性の違いにはHAの開裂以外の因子が関わることを示している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ryan-Poirier,K.: "Changes in H3 influenza A virus receptor specificity during replication in humans." Virus Research. 56. 169-176 (1998)

  • [文献書誌] Shortridge,K.F.: "Characterization of Avian H5N1 Influenza Viruses from Poultry in Hong Kong." Virology. 252. 331-342 (1998)

  • [文献書誌] Ito,T.: "Molecular basis for the generation in pigs of influenza A viruses with pandemic potential." Journal of Virology. 72. 7367-7373 (1998)

  • [文献書誌] Ito,T.: "Continued circulation of reassortant H1N2 influenza viruses in pigs in Japan." Archives of Virology. 143. 1129-1143 (1998)

  • [文献書誌] 喜田 宏: "新型インフルエンザウイルスの出現予測と流行防止" 科学. 68. 1691-1699 (1998)

  • [文献書誌] 喜田 宏: "新型インフルエンザウイルスの出現にかかわる動物とその役割" 今日の感染症. 17. 12-14 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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