研究課題/領域番号 |
08407002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
久場 健司 名古屋大学, 医学部, 教授 (60080561)
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研究分担者 |
成田 和彦 川崎医科大学, 医学部, 助手 (60104808)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1999
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キーワード | リアノジン受容体 / Ca^<2+>チャンネル / Ca^<2+>遊離 / シナプス前終末 / Ca^<2+>依存性K^+チャンネル / 活動電位 / 伝達物質開口放出 / 可塑性 |
研究概要 |
本研究の目的は、ニューロンでの細胞内Ca^<2+>遊離過程が神経活動により如何に活性化され、シナプス伝達とその調節に関与するかを明らかにするのが目的であった。 カエル運動神経のシナプス前終末では、比較的長期の反覆神経活動によるCa^<2+>流入によるCa^<2+>カルモジュリンキナーゼIIの活性化とcyclic ADP-riboseの産生が起こり、リアノジン受容体が関与するCa^<2+>誘起性Ca^<2+>遊離機構(CICR)がプライミング(活性化準備)され、その後のCa^<2+>遊離により個々のインパルスによる伝達物質の開口放出と短期の可塑性が促進される。このCICR機構の不活性化は、プロテインキナーゼCにより抑制されることが解明された。また、ウシガエル交感神経節シナプス前終末では、IP_3受容体を介するCICRによりインパルスにより細胞内Ca^<2+>上昇が促進され、伝達物質放出の長期増強が起こることが明らかになった。 シナプス後ニューロンでは、リアノジン受容体と細胞膜のCa^<2+>チャンネルとBKタイプのCa^<2+>依存性K^+チャンネルが90nmの距離で存在し三つ組み構造を形成し、細胞膜直下数μmの領域にCICRを起こし、活動電位スパイクの下降相の形成に関与し、少し離れたSKタイプのCa^<2+>依存性K^+チャンネルを活性化し、後電位を発生することが解った。また、CICRの不活性化によりBKタイプのCa^<2+>依存性K^+チャンネルの活性化は減少するのに対し、一方、SKタイプのCa^<2+>依存性K^+チャンネルの活性化は活動電位スパイク延長によるCa^<2+>流入の増加とCa^<2+>の蓄積効果により促進されることも明らかになった。さらに、細胞膜直下のリアノジン受容体を持つCa^<2+>貯蔵オーガネラのネットワークが核膜に繋がり、細胞膜の興奮によるCICRの活性化が核内に伝播することも解明された。 以上、シナプス前終末及びシナプス後ニューロンにおいて、Ca^<2+>チャンネルとリアノジン受容体とCa^<2+>作用機能分子が密接な機能的な連関構造を形成し、CICRをの活性化によるCa^<2+>依存性の生理機能を可塑的に細かい調節を行うことが解明された。
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