研究課題/領域番号 |
08407009
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
小西 陽一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00075061)
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研究分担者 |
辻内 俊文 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (10254492)
堤 雅弘 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00207416)
傳田 阿由美 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90110858)
中江 大 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (90207712)
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キーワード | 膵癌 / 遺伝子異常 / 化学予防 / 化学発癌 / テロメラーゼ |
研究概要 |
ハムスター膵癌実験系とヒト膵癌症例を用いた以下の実験結果および進行状況について報告する。 1.ハムスター膵癌実験系におけるテロメア長の短縮とテロメラーゼ活性:ハムスターの短期膵癌発生系によりニトロソ化合物で発生した発原性膵管癌とその移植系及び培養細胞系において、膵管癌細胞のテロメア長は正常膵に比べ短縮しており、テロメアーゼ活性は正常膵に比べ原発性膵癌で86から105倍、移植系で110倍、培養系で110から126倍に増加していた。 2.ヒト膵癌症例におけるテロメラーゼ活性:ヒト膵管癌38例におけるテロメラーゼ活性は、32例(84%)においてその活性上昇が検出された。この活性上昇は、臨床病期・腫瘍径、リンパ節及び遠隔転移の有無と組織型との関係は見出せなかった。これらの症例のK-ras突然変異陽性率は38例中24例(63%)で、活性上昇と突然変異の検出された症例は20例(53%)であった。 3.ハムスター膵癌におけるmidkineの発現:増殖因子の1つであるmidkineの発現についてノザン・ブロット法と免疫組織学的に検索した結果、膵管癌においてそのmRNAの過剰発現と蛋白の発現がみられた。 4.ハムスター膵発癌に対するβ-カロチン、パームカロチンと緑茶ポリフェノールの抑制効果:ハムスター短期膵管癌発生系を用い、膵管上皮細胞に異型過形成の発生した時期より上記物質を45日間投与すると、0.0025%β-カロチン、0.004%パームカロチンと0.05%及び0.5%緑茶ポリフェノールは過形成と癌を含む総膵癌病変数の発生を抑制した。 5.進行状況:ハムスター膵癌におけるp15とp16遺伝子の解析は、cDNAの塩基配列を決定中である。非ステロイド系抗炎症剤のハムスター膵発癌に対する影響については、すでに動物を屠殺し組織学的検索を行っている。
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