研究課題/領域番号 |
08407010
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
林 英生 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40033203)
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研究分担者 |
清水 徹 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (80235655)
太田 敏子 筑波大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40233134)
中村 信一 金沢大学, 医学部, 教授 (90019620)
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キーワード | グラム陽性菌 / 環境適応 / 菌体内情報伝達機構 / 熱ショック / 転写因子 / ブドウ球菌 / クロストリジュウム / ディフィシル菌 |
研究概要 |
グラム陽性菌は堅牢な細胞壁を有し、環境変化に対して抵抗性が強く、多種類の毒素ないし病原因子を産生して、それらが複合的に作用して疾病を惹起する。これらの細菌は環境に生存しているときには病原因子を産生していないが宿主内の環境を感知し、毒素等を産生しはじめる。適応性や病原性因子を産生する遺伝子は染色体上に病原遺伝子群としてクラスターを形成しているもの、各個に独立オペロンとして散在するものがあるが、その発現調節は総括的機構がはたらいている。そのような菌体内情報伝達と作用因子の産生までの分子機構を数種類のグラム陽性菌で明らかにした。ブドウ球菌では46℃の熱ショックで熱ショック蛋白以外に、重金属輸送蛋白、抗酸化蛋白、核酸代謝調節蛋白などが誘導される。その発現を調節している転写因子を特定、現在までに3種類のシグマ因子を同定した。また、抗細胞壁合成阻害剤により35kDa蛋白が誘導されるが、この蛋白遺伝子を同定し機能を決定た。ブドウ球菌において環境条件の感受から作用因子産生までの細胞情報伝達機構が順次明らかになりつつある。ウエルシュ菌では毒素の産生を正に調節する遺伝子VirR/VirSなど複数の系をまた、負に調節するVirI/VirGを発見し構造と機能を確認した。さらに細胞間情報伝達分子であるVirXの遺伝子を同定し、また情報伝達に関する短鎖RNAを見出した。ディフィシル菌では毒素産生調節に関与する因子とその関連遺伝子を解析して、アルギニンやビオチンの濃度が腸管毒の産生に関与していることを明らかになった。また、連鎖球菌がcyclic ADP-ribose合成・分解酵素を持っていることを発見し、その病原因子としての意義を明らかにした。
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