研究課題/領域番号 |
08407010
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
林 英生 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40033203)
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研究分担者 |
清水 徹 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (80235655)
太田 敏子 筑波大学, 医療短期大学, 教授 (40233134)
中村 信一 金沢大学, 医学部, 教授 (90019620)
倉園 久生 岡山大学, 医学部, 教授 (90186487)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1999
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キーワード | グラム陽性菌 / 環境応答機構 / 菌体内情報伝達機構 / 熱ショック / 転写因子 / ブドウ球菌 / タカストリジュウム / 抗菌剤 |
研究概要 |
グラム陽性細菌における病原因子産生の分子機構=環境の感知から病原因子の産生までの情報伝達ネットワーク=を解明し、感染症の新しい治療・予防法を探索することを目的とした。 1.細菌の毒素・酵素の産生は外部環境の因子により制御されている。 ウエルシュ菌、デフィシル菌では毒素の産生は菌の増殖期、菌の密度(クオラム感受機構)、栄養基質、細菌間情報伝達物質(フェロモン様因子)により調節されている。ブドウ球菌の外毒素は主として対数増殖期産生され、表層因子(結合蛋白など)は静止期に多く産生される。菌に致命的なストレス(熱、抗菌剤)下ではそれに対応する応答蛋白が誘導され、その中には病原因子も含まれる。 2.細菌は特定の環境条件を感受する装置(レセプター)を持っている。 いわゆる2成分制御系のセンサー因子がこれに相当する。ウエルシュ菌では複数種の2成分制御系を同定し、黄色ブドウ球菌では亜鉛、重金属、pH,抗菌剤などを特異的に認識する機構の存在を確認した。 3.全細胞内伝達系ネットワークを明らかにしなければならない。 ウエルシュ菌の2成分制御系には促進系と抑制系があり、条件によっては促進形が抑制系として作用する。黄色ブドウ球菌では複数のσ因子の機能が明らかとなった。これらのことは、菌体内の情報伝達機構が極めて巧妙にバランス良く維持されていることを示しており、この精密配線図の解明(ポスト・シークエンスの機能解析)が急務であることがわかった。 4.転写レベル、翻訳レベル、ペプチド鎖の機能蛋白分子への成熟過程段階の調節機構もある。 このようなグラム陽性細菌の病原因子の産生機構が明らかになり、病原因子の産生を選択的に制御する物質、増殖を制御する細菌の産生する因子が存在することが証明され、これらを有効に利用することで、新しい薬剤の開発が可能性であるとともに、細菌の生態学的なアプローチで共生細菌叢を乱すことなく、病原細菌の増殖ないし病原因子の産生を制御できる可能性がより具現化した。
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