研究課題/領域番号 |
08407016
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
石井 裕正 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20051500)
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研究分担者 |
黒瀬 巌 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50234604)
加藤 眞三 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30177448)
三浦 総一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50138012)
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キーワード | 肝疾患 / 類洞壁細胞 / Kupffer細胞 / 接着因子 / カルシウム / NF-κB / アポトーシス / ミトコンドリア |
研究概要 |
本申請研究の目的は各種肝病態時における類洞壁細胞群(Kupffer細胞、内皮細胞および伊東細胞)の関与を明らかにすることである。本年度ではまず、肝癌細胞と共培養した際のKupffer細胞の活性化機構として、接着因子(CD18/ICAM-1)を介した細胞間相互反応とcalciumの動員に引き続く細胞内活性酸素産生の重要性が明らかとなった。エンドトキシンや炎症性サイトカインを投与した場合にKupffer細胞のみならず類洞内皮細胞でもcalciumの動員に引き続く細胞内活性酸素酸生がおこり、さらにこれに伴う酸化的NF-κB活性化によってnitric oxide(NO)合成酵素(Kupffer細胞、内皮細胞両者)やtumor necrosis factor(TNF)-α(Kupffer細胞)のmRNAが転写される可能性が示唆された。その結果細胞外に放出されるNOやTNF-αは標的細胞(肝癌細胞、肝細胞、血管内皮細胞)のミトコンドリア呼吸鎖を障害したり、キラー遺伝子(c-myc、c-fos、c-jun)やapoptosis遺伝子(p53等)を誘導したり、細胞内プロテアーゼを活性化することにより細胞死(necrosisおよびapoptosis)をもたらすことが証明されつつある。さらには、NOの酸化的代謝産物ONOO-はp53のpoint mutationを引き起こし、肝細胞の癌化の過程に重要な役割を担う可能性が明らかとなりつつある。これらの結果は、標的細胞内ミトコンドリア呼吸能感受性蛍光色素、細胞膜、核膜障害を観察する蛍光色素、in situ nick end labeling(DNA fragmentation化)、immunofluorescence(蛋白同定)、in situ hybridization(遺伝子同定)やあらたに申請者らが開発したin situ DNA-protein結合(遺伝子転写因子同定)を用いて細胞内局在を共焦点レーザー顕微鏡下に可視化、定量するシステムを確立したことにより得られた。
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