研究課題/領域番号 |
08407019
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
泰江 弘文 熊本大学, 医学部, 教授 (40174502)
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研究分担者 |
吉村 道博 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (30264295)
久木山 清貴 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (00225129)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 冠攣縮 / 狭心症 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酸素 / 心筋梗塞 / 遺伝子変異 / 喫煙 / 危険因子 |
研究概要 |
冠動脈の攣縮(冠攣縮)は狭心症や急性心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生上重要な役割を果たしており、しかも我が国においては欧米に比し頻度の高い疾患である。しかしながらその発生機序に関しては不明な点が少なくない。冠攣縮は特に夜間から早朝にかけての安静時に出現し通常は日中の労作によっては誘発されない。筆者らは冠攣縮がアセチルコリンにより高頻度に誘発されることを明らかにしているが、アセチルコリンは血管が傷害させていると平滑筋に直接作用して血管を収縮させる。したがって、攣縮に陥る冠動脈は動脈造影上、正常に見えても内皮の傷害、すなわち内皮からの一酸化窒素(NO)の産生・放出が障害されている可能性がある。本研究においては冠攣縮性狭心症の患者の冠動脈においてNOの活性が低下しているか否かをNO阻害薬であるL-NMMA及び冠血流増加に対する反応から検討し、実際に冠攣縮の症例においては冠動脈におけるNOの活性低下が存在することを明らかにした。更に、NO活性の低下の原因を追求するために冠攣縮の危険因子を多変量解析で検討した結果、喫煙が極めて重要な危険因子であることが明らかとなった。喫煙がいかなる機序でNOの活性を低下させるかをin vitroおよびin vivoで調べた結果、煙草に含まれる活性酸素がNOを不活性化していることが明らかとなった。我が国における男性の喫煙率は欧米のそれに比し2倍以上であり、冠攣縮が我が国において頻度が高いのは喫煙率が高いことと関係があるものと思われる。喫煙などの環境因子に加えて人種的・遺伝的背景も冠攣縮と関係があると思われるので、血管内皮型NO合成酵素(eNOS)の遺伝子を調べて見ると、冠攣縮患者においてはエクソン7のGlu298Aspおよび5'側非翻訳領域のT^<-786>→C変異と有意に連関していることが明らかとなった。以上から、冠攣縮の発生には喫煙などの環境因子と共に遺伝的な因子が関与することが示された。
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