研究分担者 |
田村 功一 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 助手 (40285143)
木原 実 横浜市立大学, 医学部, 助手 (60177904)
石上 友章 横浜市立大学, 医学部, 助手 (50264651)
梅村 敏 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (00128589)
村上 和雄 筑波大学, 応用生物科学系, 教授 (70110517)
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研究概要 |
本年度も主にアンジオテンシノーゲン欠損マウス(Atg-/-)における臓器・細胞機能の変化に関するin vivoおよびin vitroでの検討を行った. (1)Atg-/-心筋細胞における情報伝達系活性化の検討:Atg-/-心筋細胞に伸展刺激を加えるとAtg+/+心筋細胞に比べてより大きなmitogen-activated protein kinase(MAPK)の活性化を認め,この活性化は両マウスともにgp130に対する抗体により約50%抑制された.心筋MAPKの伸展による過剰反応はAngIIが存在しない状態での何らかの代償機構の活性化の結果と考えられる.さらに伸展に伴うサイトカイン-MAPK系の活性化が示唆される(Biochem Biophys Res Commun,1997). (2)Atg-/-の電解質代謝に関する基礎的検討と塩分負荷の影響:代謝ケージを用いた検討にて,Atg-/-は低血圧,多尿,尿濃縮力低下を示し,Atg-/-において賦活化されたADHおよび交感神経系はレニン・アンジオテンシン系の欠損を十分に代償し得ないと考えられる.一方,Atg-/-に塩分負荷を行うと血圧が有意に上昇し,レニン・アンジオテンシン系欠損を部分的に代償すると考えられる(J Hypertens,1998;Kidney Int,1998). (3)レニン遺伝子発現調節における神経型一酸化窒素合成酵素(N-NOS)の役割についての検討:Atg-/-の腎ではレニン遺伝子の過剰発現がみられるが,Atg-/-腎の緻密斑においてN-NOSの発現がmRNAおよび蛋白レベルで増強していることを明らかにし,また塩分摂取量に比例してレニンおよびN-NOSの発現が相関して変化することを示した(Lab Invest,1997;J Am Soc Nephrol,1998).さらに同様の検討をATla受容体欠損マウスを用いて行い,Atg-/-の場合と比較検討した(Kidney Int,1998).現在プロスタグランデイン合成酵素(COX-II)の関与について検討中である. (4)AngII受容体発現調節についての検討:定常状態におけるAtg-/-心でのAngII受容体(ATla,AT2受容体)発現はAtg+/+とmRNAレベルでは差がなく,蛋白レベルでは増加が認められた(Hypertension,1998).次に,塩分負荷が心でのAngII受容体発現に与える影響についてNorthern hybridizationにより検討したが,塩分負荷によりAtg+/+のAT1受容体mRNAは増加したがAtg-/-では変化がなかった.一方,AT2受容体発現は塩分負荷により両マウスにおいて増加がみられ,その程度はAtg-/-心において大きかった.現在,中枢(視床下部,脳幹部),腎,および消化管でのAngII受容体(AT1,AT2受容体)について塩分負荷の影響を含めて検討中である.
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