本研究は、a)体外マーカーによる超音波内視鏡画像の3次元位置決め、b)ファントムによる腔内超音波を用いた3次元画像の作成、c)臨床例での3次元画像の作成、および他の画像診断との比較からなる。 a)体外マーカーによる超音波内視鏡画像の3次元位置決め 体外に設置した超音波トランスジューサ-から超音波スキャナーに同期した超音波をマーカーとして発射し、体内に挿入している超音波画像プローブでそれを受信し、マーク位置から体内の超音波画像プローブの位置・方向・姿勢を計測した。自動計測のアルゴリズムで計測した体内プローブと体外トランスジューサ-との間の方向と距離は原画像における視察結果をほぼ忠実に反映していた。また使用した超音波の周波数は10MHzと高いので、受信できる距離は4cm程度と短いものとなった。体内外両トランスジューサ-の指向性の一致は、外部超音波が強い場合、操作面に沿った方向の指向性に関しては見かけ上十分広く広い範囲で受信可能であり、問題は少なかった。電子走査指揮超音波スキャナーの場合、ライン同期信号に対するPLL同期方式により発信すれば、周期性を利用してマーカーを任意の位置にもってくることができ、より長い距離を計測できた。しかし回転モーター式超音波スキャナーの場合、モーター回転の安定性の問題で、 PLLで同期することができず、周期性も利用することができなかったため、計測距離は10cm以下になった。また、逆に体内にマーカー・トランスジューサ-を置き、体外に画像用プローブを設置する方式は、検査・ナビゲート対象付近の画像は多くの場合得られず、画像スキャナーは内視鏡などの先端位置の計測のみを行うことになる。 b)ファントムによる腔内超音波を用いた3次元画像の作成についてはファントムの作成に予想を上回る困難が生じ、胆管にできる限り忠実なファントムを作成するべく現在検討中である。 c)臨床例での3次元画像の作成、および他の画像診断との比較については胆道系腫瘍は比較的症例数が少なく臨床例の蓄積が未だ不充分であり、信頼のおける結果を出すに至っていない。臨床例を蓄積の上報告する予定である。
|