研究概要 |
本研究の成果は1)体外マーカーによる超音波内視鏡画像の3次元位置決め、2)ファントムによる腔内超音波を用いた3次元画像の作成、3)臨床例での3次元画像の作成および他の画像診断との比較からなる。 1) 体外マーカーによる超音波内視鏡画像の3次元位置決め 体外に設置した超音波トランスジューサーから超音波スキャナーに同期した超音波をマーカーとして発射し、体内に挿入している超音波画像プローブでそれを受信し、マーク位置から体内の超音波画像プローブの位置・方向・姿勢を計測した。超音波の周波数は10MHzと高く、受信できる距離は4cmとなった。 2) 胆管ファントムによる3次元画像の作成 表面に管腔様裂溝のあるハム片を胆管ファントとし、体腔内超音波トランスジューサーを管腔様裂溝にできるだけ近接させ、プルバックデバイスを用いて管腔の長軸方向に0.1mm刻みで牽引し連続的な短軸断面超音波像を作成した。この連続的な2次元超音波像を基に任意方向の再構成画像およびSurface Rendering法を用いて3次元超音波像を作成した。本法により、任意の断面における超音波像と胆管ファントムの表面の3次元超音波像を得た。 3) 臨床例での超音波内視鏡再構成画像の作成と他の画像診断との比較 胆管ファントムで用いた方法で長軸方向の再構成画像とSurface Rendering法を用いた3次元超音波像を作成した。これらと他の断層画像(CT,MRI)との比較を行ったが、現時点では胆道系腫瘍およびリンパ節の描出能はCT,MRIより劣っていた。Surface Rendering法を用いた3次元超音波像では乳頭状腫瘤の描出が可能であった。問題点としては、超音波画像の低軟部組織分解能、総胆管内におけるプローブのねじれ、極小プローブによる腔内超音波のpenetrationの低さなどが挙げられた。
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