研究課題
基盤研究(A)
超音波エネルギーをフォーカシングする集束超音波について、以下の2点から低侵襲有効ながん治療法となり得るか否か検討した.1.超音波音場で発生する活性酸素を利用したがん治療の基礎的研究ESRでの測定では、超音波キャビテーションによってヒドロキシラジカル、ー重項酸素等のラジカルが産生されていることが判明した。このようなラジカル産生能を持つ音場によって、前投与された光増感剤が活性化され、量依存的に殺腫瘍細胞効果が増強されることを明らかとした。この効果は、ラジカルスカベンジャーであるアスコルビン酸で抑制されることから、超音波と光増感剤によりフリーラジカルが発生し、殺腫瘍細胞効果が生じているものと考えられた。マウス実験腫瘍の増殖も抑制され、超音波と光増感剤の併用は今までの光化学療法では適応とならなかった体深部の癌にする腫瘍選択性を持った新しい低侵襲の治療法として期待できると考えられた。2・集束超音波を用いた癌のThermal ablationの基礎的研究組織内に集束させる超音波エネルギーをさらに増強すると、焦点領域を熱凝固壊死させることが可能である。このThermal ablation効果をがん治療に応用することを目的として、単一波と周波数変調波を組み合わせた照射法を考案し、焦点領域へのエネルギー伝搬の効率化を図ったところ、照射領域でのキャビテーションによるマイクロバブルの発生を抑制し得、設定した焦点と実際に焼灼される範囲や位置をほぼ一致させることが出来た。集束超音波を用いて、家兎やブタの肝内の目的領域を焼灼壊死させることも可能であった。集束超音波は体外から非観血的に超音波画像下に肝腫瘍をThermal Ablationする夢の治療法として、臨床応用に向けて精力的に研究を進めるべきものと考えられた。
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