研究概要 |
平成10年度までにブタの同所性肝移植モデルおよび生体内分離肝灌流モデルによる肝臓に対するマーカー遺伝子導入の実験を施行し,免疫抑制剤の併用下で肝臓への効果的な遺伝子導入が得られた。これらに関して国内外の学会発表を行い,また論文が掲載された。 また,ヒト補体抑制蛋白(CD46,CD55,CD59)をコードしたアデノウイルスベクターの作製実験を終了した。さらに,ブタ及びラットの血管内皮に対しこれら3種類のベクターを導入し,in-vitroでの補体抑制効果を確認した(論文投稿予定)。現在は生体内分離灌流モデルを使用し,ブタおよびラットの肝臓と腎臓への遺伝子導入実験を施行中である。これらの実験系ではヒト補体抑制蛋白を発現するラットおよびブタ臓器を,酸素化したヒト新鮮血で灌流し,補体抑制効果について検討している。本実験は4月までに終了予定である。 また,TGF-β,bcl-2についてadenovirus vector,pseudotyped retrovirus vectorを作製した。これらの遺伝子を移植臓器に高率に発現させ,さらにこれをallogeneicの動物に移植する実験が進行中である(ラット肝臓移植および小腸移植)。また劇症肝不全モデルに対する,遺伝子導入も同様の方法で施行している。
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