研究課題/領域番号 |
08407039
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
渡辺 洋宇 金沢大学, 医学部, 教授 (20019897)
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研究分担者 |
関戸 伸明 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (10293359)
小田 誠 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (50224241)
村上 眞也 金沢大学, 医学部, 助手 (20210007)
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キーワード | 肺癌 / FISH法 / 潜在性骨髄転移 / 潜在性リンパ節転移 / MT-MMP / PAI-2 / VEGF / 血管新生 |
研究概要 |
1)肺癌切除についてFISH法によって第17番染色体数を測定した。第17番染色体異常は77例中22例(29.7%)に認め、CCN1は7例(9.5%)、CCN3は15例(20.3%)であった。CCN1,3は病期、T因子、N因子、組織型、p53蛋白発現、PCNA標識率、生存率の各因子と有意な相関をみとめた。 2)肺癌患者の術前に骨髄穿刺液を採取しcytokeratin 18にて免染し、潜在性転移を検出した。I期でも32.2%に陽性であり、病期が進行すると共に陽性率は上昇した。腺癌に比べて扁平上皮癌の陽性率が高かった。 3)I期肺癌すなわち、術後病理検索にてリンパ節転移陰性と病理診断されたリンパ節について、AE1/AE3にて免染し潜在性リパ節転移の存在を検索した。検索した132例中、肺門部リンパ節に、7例(5%)、縦隔リンパ節に29例(22%)に潜在性の転移をみとめ、組織型別では扁平上皮癌でより高率に認められた。潜在性リンパ節転移陰性例(n=96)の生存率は、陽性例(n=36)に比べて有意に良好であった。 4)膜型MMPの発現とリンパ節転移との相関性をゼラチナーゼAの活性化率で比較検討すると、リンパ節転移陽性群の活性化率が陰性群に比べて有意に高く、リンパ節転移を伴った肺癌組織ではゼラチナーゼAの活性化が亢進していることが明らかになった。 5)uPAの特異的阻害因子の一つであるPAI-2の発現がリンパ節転移と逆相関することが確認された。すなわち、PAI-2がリンパ節転移の重要な抑制因子として機能している可能性が示唆された。 6)VEGFの発現性をmRNAレベルで定量評価した結果、リンパ節転移陽性群の発現レベルは、陰性群に比べて高い発現性を示し、血管新生因子とリンパ管新生因子との関わりが示唆された。VEGFの発現は転移リンパ節でも高かった。種々のヒト腫瘍細胞株をアンチアシアロGM-1を前投与したSCIDマウスに移植し、リンパ節転移と腫瘍組織内におけるリンパ管密度との相関を酵素組織染色により検討すると、リンパ節転移能の高いCell lineではリンパ管密度が高く、lymphpgenesisがリンパ節転移の形成に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。血管新生阻害剤TNP-470を用いてヌードマウス法にて検討した結果、治療群のリンパ節転移は著明に抑制され、かつ腫瘍内のリンパ管密度は対照群に比べて低下していた。
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