研究課題/領域番号 |
08407041
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
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研究分担者 |
増澤 徹 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (40199691)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (60155752)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 副所長 (60028595)
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キーワード | 心肺補助 / 人工肺 / 人工心臓 / 抗血栓性 / 血液鬱滞 / ヘパリン / ガス交換 / 拍動流 |
研究概要 |
本研究の目的は、抗凝固療法が不要で長期間の呼吸循環補助を同時に行い得る一体型心肺補助装置を開発することである。平成8年度は装置の規格を決定してこれに基づいた一次試作装置を完成させた。これに対してin vitro評価を施行し、十分な駆出性能およびガス交換性能を、またX線透視による流れの可視化で血流鬱滞のないスムースな装置内の血流状態を確認した。平成9年度は、まず共有結合法によるヘパリンコーティング法を開発・確立した。本法ではシランカップリング剤を用いて素材表面にポリエチレンイミンを共有結合し、これにヘパリン分子を更に共有結合する方式を採用しており、既存の方式に比べて非常に耐久性に優れたヘパリン結合処理方法となった。次に本法を一次試作装置の血液接触面に導入して抗血栓性の向上を図り、山羊を用いた慢性動物実験で灌流することにより長期の性能評価を行った。体重54-62kgの成山羊を用いて右房脱血肺動脈送血の右心バイパスを作成し、抗凝固薬の全身投与を一切施行することなく抗血栓性処理済みの一次試作装置を灌流した。その結果、良好な駆出性能(3.9-4.3L/min)およびガス交換能(酸素添加量167±34ml/min、炭酸ガス除去量123±18ml/min)を維持しつつ7日間の連続灌流が可能で、本装置の長期心肺補助装置としての有用性が示された。以上のように一次試作装置は当面の目標を十分クリアする性能を示したが、2つの人工弁の使用などによる高コストの問題や、洗練した技術が要求されることによる品質管理上の問題が学会等で指摘された。それらの助言に基づいて、より低コストで品質管理も容易で、また一層の小型化の実現を目指した二次試作装置の設計・試作を開始した。この二次試作装置は人工心臓部にプッシャプレート方式拍動流型人工心臓に代わって遠心ポンプ型人工心臓を用い、その外周に配した円筒型の人工肺部分を一体化させて同部を高効率で灌流しようとするもので、来年度はその評価・改良を行っていく予定である。
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