研究概要 |
平成8年度の研究成果は以下に要約される. 1)誘発脳磁界においては刺激条件を多様化させることにより,脳機能マッピングの検査項目を飛躍的に拡大することができた.すなわち,体性感覚においては従来の四肢の末梢神経刺激に加えて,新たに泌尿生殖器に対する刺激,舌に対する電気刺激に対応する脳の知覚野を同定する方法を確立した.聴覚刺激においては,言語要素である複数の音節刺激に対する反応を捉え,信号源推定することができた.さらには全く新しい刺激として,舌への味覚刺激による脳磁界を計測し,その信号源が島と弁蓋部の境界付近に存在することを見いだした. 2)機能的MRIにおいても,皮膚の接触感覚,皮膚の痛覚,手指の運動など,さまざまな刺激負荷条件下における脳の活動部位を3次元的な拡がりを持って示すことができた. 3)これら脳磁図及び機能的MRIによる機能マッピング情報は,新規に購入したグラフィックワークステーションによって,MRI解剖画像上に表示することが可能になった. 4)新規に購入した手術ナビゲーションシステムによって,磁気生理学的な情報を手術野に投影して役立てるシステムを構築した.実際の脳腫瘍の手術時には,全身麻酔を行わない開頭下に,脳表を直接電気刺激することによって,非浸襲的な磁気生理学的機能マッピングが正しい事を評価することができた. 以上,平成8年度においては,予定した研究計画を上回る成果をあげることができた.
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