研究概要 |
老化に伴う骨格筋の変化は部分的なニューロン脱落に伴う脱神経による萎縮が中心的なものである。脱神経後に起こる筋再生様の変化に注目し、その変化の起こる機序についての若干の知見を得た。ウィスターラットの薄筋を用いて脱神経モデルを作成、1、2,3,4週後に筋体を採取、以下の分析を行った。1)ピロリン酸電気泳動法を用いたミオシンアイソフォームの分析、2)ミオシンH鎖アイソフォーム特異的モノクロナール抗体を用いた免疫組織染色、3)抗BrdU、MyoD抗体を用いた免疫組織染色、4)TUNEL法(ApopTag)を用いたアポトーシスの検出、5)遊離ヒストンend-labelling法を用いたアポトーシスの検出、6)電子顕微鏡による検索、7)アガロースゲルDNA電気泳動法。脱神経後、胎児型ミオシンが免疫染色およびピロリン酸電気泳動法によって大型の脱神経線維に軽度ないし中等度発現されていることがわかった。この胎児型ミオシンの量は脱神経後3週ごろがピークであった。免疫組織染色により、一部の脱神経線維が胎児型ミオシン陽性を示し、さらに強陽性を示す小細胞(筋衛星細胞と思われる)も認められた。MyoD陽性を示す小細胞(核)もみられた。こうした所見は、脱神経筋において筋衛星細胞の活性化がみられ、この活性化筋衛星細胞は互いに癒合して新しい再生線維を形成するのではなく、脱神経線維に癒合し修復をこころみていると考えられた。TUNEL法により、2-4週において陽性核が散見され、また遊離ヒストンend-labelling法において遊離ヒストンが1,2週においてコントロールより有意に増加していた。しかし、アガロースゲル電気泳動法においてDNAラダー形成は認められされず、ごくわずかの核が変性を受けていることによる検出法の感度による問題と思われた。
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