研究概要 |
本年度は、多核白血球に発現する細胞接着因子および白血球からでると考えられているNOの測定をおこなった.白血球の分離はFicol-hypaque液にて密度遠心勾配法により多形核白血球を抽出した.多形核白血球であることは、Flow Cytometryによる前方散乱光および側方散乱光により確認できた.Flow cytometryによる測定時、回路内が蛋白によって閉塞しがちになるという問題が生じたが、次亜塩素酸による頻回の洗浄により回避できた.そこで、白血球細胞表面に発現するFITCラベルCD62L(L-selectin)とPEラベルのCD11a(LAF-1)とCD11b(Mac-1)の発現を検討した.陰性コントロールにはFITCラベルmouse IgG1,PEラベルmouse IgG2を用いた.温度37Cの恒温槽で白血球をFMLP(N-formy1-methiony1-leucy1-phenylalanine)で10分間刺激するとCD62Lの発現は減少した.しかし、CD11bの発現は変化しなかった.また、これらの細胞接着分子の発現に対して静脈麻酔薬のケタミンは影響しなかった。現在、低酸素下および再酸素化時のこれらの発現を検討中である.また、白血球からのNOの発現に関して多核白血球を37Cの恒温槽で30分間incubationしたのち測定した.NOの測定は、オゾンと反応させる化学発光を光電子倍増管で検出した.白血球浮遊液中のNOはNO_2に変化しており、アスコルビン酸により還元してNOとして測定した.その結果、従来言われているような白血球からのNOの放出はみられなかった.この点、方法に問題があるのか、時間的に問題があるのか、それともヒト白血球には動物の白血球とことなりNO合成のcofactorである5,6,7,8-tetrahydrobiopetrinが少ないのか、現在検討中である.
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