研究概要 |
平成9年度は従来の張力による方法で,CICR(Ca-induced Ca release)速度の測定を行ったのは12名であった.1例は広島大学医学部附属病院で筋生検が行われたが,11例は生検された骨格筋がク-ル宅急便を利用して輸送された.この12名の筋生検理由の内訳は,劇症悪性高熱症を発症した患者4名,亜型悪性高熱症発症3名,悪性高熱症の家族歴2名,高CK(creatine kinase)血症3名であった.これらのうちCICR速度の亢進が認められたのは2名(劇症悪性高熱症発症2名)であった.また,悪性高熱症劇症型の集計は続けて行っている.総計で338例となり,1990年以降の死亡率は14.6%であった. カルシウム画像解析装置によるCICR速度の測定は装置の準備が完了して,次回の筋生検から行う予定である.ヒト骨格筋細胞のカルシウム動態については生検された骨格筋から細胞膜がintactな状態で1本の骨格筋線維を取り出すことが困難であった.このため本年度より,生検された骨格筋から衛生細胞を培養して,この細胞についてカフェインやハロタンによる細胞内のカルシウム濃度の変化を検討することとした.基礎実験としてラットから生検してきた骨格筋より衛生細胞の培養を行うことができた.また,ラットの筋芽細胞についてカフェイン5〜20mMで細胞内のカルシウム濃度の上昇を確認した.この上昇は,CICR機構の抑制薬剤として知られているプロカイン10mMで抑制された.ヒト筋芽細胞について同様の検索を行った後,悪性高熱症疑いの患者から生検された骨格筋から筋芽細胞を培養して実験を行う予定である. 遺伝子検索については,CICR速度の以上が認められた患者やその家族から得られた白血球よりDNAを抽出した.今までに報告された数カ所のone point mutationの検索のためのプライマーを作成中である.
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