研究概要 |
平成11年度は,CICR(Ca-induced Ca release)速度の測定を行ったのは19例であった.14例は筋生検後クール宅急便にて摘出された骨格筋を輸送,5例は当病院で筋生検を行った.この19例の筋生検理由の内訳は,高CPK血症4例(運動後高CPK血症2例),術後の悪性高熱症3例,悪性高熱症の家族歴3例,劇症型悪性高熱症3例,亜型悪性高熱症発症2例,熱中症2例,悪性症候群1例,筋疾患の家族歴1例であった.CICR速度の亢進が認められたのは4例で,劇症型悪性高熱症2例,亜型悪性高熱症発症1例,運動後の高CPK血症1例であった.悪性高熱症劇症型の症例集計は続けており,総計354例で1990年以降の死亡率は16%であった. 骨格筋細胞のカルシウム動態については,ヒトの骨格筋培養細胞を用いて検討を行った.骨格筋培養細胞が形態学的に筋管細胞となった時のハロタンとカフェインによる濃度依存性のカルシウム濃度の上昇を観察した.さらに,実際にヒトから生検された骨格筋から培養を行った.得られた細胞から磁気細胞分離装置で線維芽細胞を除去した後に,培養を10日〜14日行うと筋管細胞が認められた.これらの細胞はカフェイン10mMでカルシウム濃度が上昇し,これはプロカインにより抑制された.今度,さらにこういった細胞のカフェインやハロタンの濃度依存性のカルシウム上昇作用を検討すれば,悪性高熱症の素因の有無を検討できると考えた. 遺伝子検索につては,CICR速度の異常が認められた患者5名とその家族1名の白血球からDNAを取り出した.SSCP法等で今までに報告された数カ所のone point mutationの検索したが,検索した範囲では異常は認められなかった.
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