研究概要 |
シェ-グレン症候群疾患モデルNFS/sldマウスの全身諸臓器ホモジネートと発症マウス血清を用いたウエスタンブロ解析の結果,唾液腺組織のみに約120kDの位置に特異的反応が認められた。次に,顎下腺ホモジネートを膜画分,細胞質画分に分けて抽出し,抽出物をHPLCを用いたゲル濾過,イオン交換クロマトグラフィーを組み合わせることにより部分精製標品を得た。部分精製標品を用いてモデルマウス脾細胞の細胞増殖反応を検討した結果,経時的にその反応性が増強していることが判明した。さらに,マウス脾細胞をこの部分精製標品とともに培養するとin vitroにおいてTh1型のサイトカインとされるIL-2、及びインターフエロン-γの産生を誘導することが明らかとなった。次に、精製自己抗原のアミノ酸解析を実施した結果、N末の20残基が明らかとなりヒトα-フォドリンのN末の20残基と完全に一致した。アミノ酸解析により判明した20残基を含むヒトα-フォドリンcDNAを用いてリコンビナント蛋白を作製し発症マウス血清および脾細胞との反応性を検討した結果,マウス血清は特異的にα-フォドリンリコンビナント蛋白と反応し,マウス脾細胞も病変の進行に伴って特異的な反応性を示した。GST蛋白に対しては血清および脾細胞の反応性は全く認められず,リコンビナント蛋白に特異的な反応であることが確かめられた。以上の結果より,120kD抗原には抗体エピトープ並びにT細胞エピトープが存在している可能性が強く示唆された。
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