研究課題
本研究の目的は、咀嚼時特に咬合終末期に生じる歯の小変位を詳細に捉えること、またその制御機能を解明し、咬合状態との関連性を検討することにある。今回は以下の項目に重点を置き研究を行った。1.歯の微小変位の測定現有する光ファイバー変位センサ(ST3713岩通)を用い、歯の微小な変位動態を実測した(第55回日本矯正歯科学会大会 1996)。本法は歯に対して非接触な測定法であり、歯固有の動きを制限することなく測定が可能であった。また、その時に歯に対して加わる咬合衝撃力がどうのように伝播吸収されていくかを検討するために動力学的シミュレーションを行い、歯根膜の力学的意義に言及した(第4回顎顔面バイオメカニクス学会 1996)。2.神経制御機構の解明歯の変位を咀嚼という機能時において総合的に評価するために歯の変位の他に顎運動および咬合力の発現に関して検討を加えた。すなわち、破壊効率というパラメーターを媒介に、咬合終末期において形成される顎運動経路に関して理論的考察を加え(顎口腔機能学会雑誌 第3巻2号)また、実際の顎運動測定装置(MMJI-E松風)により得られたデータを用い臨床的に検討した(顎口腔機能学会雑誌 第3巻2号)。加えて、時々刻々と変化する上下歯の相対的位置関係に対して生体がどのように顎口腔機能を制御しているかを検討するために咬合力の動的測定を行い、その咬合力の力学的重心位の変動と生体制御機構との有意な関連性を認めた。(日本矯正歯科学会雑誌掲載中)
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