研究課題/領域番号 |
08407071
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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研究分担者 |
服部 光治 東京大学, 薬学部, 助手 (60272481)
青木 淳賢 東京大学, 薬学部, 助手 (20250219)
新井 洋由 東京大学, 薬学部, 助教授 (40167987)
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キーワード | PAF / 分解酵素 / 酵素ストレス |
研究概要 |
我々は、細胞内PAFアセチルハイドロラーゼには、大別してI型及びII型のアイソフォームが存在することを明らかにしている。このうちII型PAFアセチルハイドロラーゼは、PAFに加え酸化リン脂質をも分解し、高等動物から原生生物に至るまで保存されており、生体内での過酸化脂質の代謝に関与する重要な酵素であると予想される。今回我々は、ウシ肝臓由来のII型酵素に対するモノクローナル抗体を樹立し、その組織及び細胞内分布を調べることにより、更にその生理的機能について解析を加えた。 まずウシ各臓器の可溶性画分についてイムノブロットを行った結果、本酵素は肝臓及び腎臓に特に強く発現していた。その他、低いレベルながら肺、副腎、胃など臓器全般で発現が見られた。次に、ウシ腎臓上皮細胞株MDBK cellを用いて、その細胞内局在性について検討を加えた。その結果、II型酵素は、細胞質のみならず膜画分にも存在することが明らかとなった。細胞の蛍光免疫染色像では、細胞内の小胞体膜、特に核に近い部位が強く染色された。また、細胞をt-BuOOH処理し、酵素ストレスをかけた場合、その濃度依存的に本酵素は細胞質から膜画分へ移行することが見い出された。更に、II型酵素を過剰発現させたCHO-K1細胞は、t-BuOOH処理による酵素ストレスに対して耐性を示すことが確認された。これらの結果は、本酵素が酸素ストレスに応答して細胞質から細胞内の膜へと移行し、そこで生じた酸化リン脂質を分解・消去する事により、抗酸化酵素として機能する可能性を示唆している。
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