研究課題/領域番号 |
08408023
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
鈴木 正昭 岐阜大学, 工学部, 教授 (90093046)
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研究分担者 |
細谷 孝充 岐阜大学, 工学部, 助手 (60273124)
根岸 学 京都大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (60201696)
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キーワード | プロスタグランジン / 受容体 / 15R-TIC / IP_2 / PET / Δ^7-PGA_1 |
研究概要 |
本研究では、プロスタグランジン受容体機能探索分子を設計・合成し、これを活用した細胞情報伝達機構の解明研究に取り組み、いくつかの成果をあげることができた。まず、鈴木は脳内中枢型PGI_2受容体に強く結合する受容体探索分子(15R-TIC)のトリチウム標識体を合成してラット脳凍結断片のオートラジオグラフィーを行い、中枢型IP_2受容体の局所分布の視覚化に成功した。この結果、IP_2が情動行動、嗅覚、記憶、学習、痛覚、聴覚を掌る部位に局在することが明らかになった。また、金属触媒反応による高速メチル化反応を開発して15R-TICの^<11>C含有PETトレーサーの合成に成功し、これを用いて生きた赤毛ザルの脳PET画像撮影を行って、IP_2受容体が視床および線条体などの中枢神経系に特異的に分布することを明らかにした。細谷はIP_2受容体タンパク質捕獲のための新たな光親和性標識リガンドを設計し、その放射核導入体の合成に成功した。現在、光親和性標識実験を検討している。一方、鈴木は、天然抗腫瘍性プロスタグランジンの人工類縁体であるΔ^7-PGA_1メチルエステルおよびその構造異性体を合成し、これらを活用してPGがサイクリンキナーゼ阻害剤であるp21タンパク質の産生を特異的に誘導し、その結果、細胞周期をG_1期で停止させるということを初めて明らかにした。一方、前年度に設計・合成したGS-Xポンプの競合的阻害剤が、実際に細胞内に取り込まれた後、活性体となり作用を現すことを証明した。また、この阻害剤を上記抗腫瘍性PGと併用することにより、PG酎性癌細胞のPG感受性が上がること、その際細胞周期がG1期で停止することを確認した。根岸らは抗腫瘍性PGの細胞内局在を解析し、PGがERに集積すること、またこの集積がストレスタンパク質BiPの誘導作用と相関していることを明らかにした。以上、本年度の研究は概ね計画通りに遂行できた。
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