研究課題/領域番号 |
08408025
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 公綱 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00134502)
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研究分担者 |
新田 至 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30272404)
河合 剛太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70211860)
上田 卓也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80184927)
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キーワード | 動物ミトコンドリア / イン・ビトロ翻訳系 / 変則暗号 / tRNA / 修飾塩基 / AVAコドン / ホルミルトランスフェラーゼ / クローバ葉型構造 |
研究概要 |
本研究の目的は(1)動物ミトコンドリアtRNAの構造解析、と(2)ウシ・ミトコンドリアのイン・ビトロ翻訳系の構築によるこれらのtRNAの翻訳活性の検証、を通して動物ミトコンドリアの翻訳システムの分子機構を解明することである。以下に示すように、当初の目的を8割方達成する成果を挙げることができた。 (1)変則暗号の解読機構:コドン3字目のプリン(A/G)塩基とピリミジン(U/C)塩基の読み分けはプリンに対応するtRNAのアンチコドン1字目に存在する修飾U(5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン:cmnm^5Uなど)またはC(5-ホルミルシチジン:f^5C)に依存する。すべてのAGNコドンをSerに読むヒトデtRNA^<Ser>GCUのアンチコドン1字目の修飾塩基は7-メチルグアノシンであると同定した。 (2)異常構造を持つtRNAの立体構造:変則的なクローバ葉型構造のtRNA^<SER>UGA、Dアームを欠くtRNA^<Ser>GCU、Tアームを欠く豚回虫tRNA^<Met>の立体構造を^1H-NMRで解析し、従来生化学的に推定されていたL型類似三次元構造をとることを確定した。 (3)tRNAの翻訳機能:大腸菌のものと遜色無い効率を持つミトコンドリアのイン・ビトロ翻訳系を確立した。これを用いてf^5CをもつtRNA^<Met>のみがAUG以外にAUAコドンをもMetに翻訳できることを実験的に証明した。 (4)met-tRNAのホルミルトランスフェラーゼ遺伝子のクローニング:本酵素を精製し、その部分アミノ酸配列から作成した合成DNAブローブにより本酵素のクローニングに成功した。現在その大量発現系を構築している。
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