研究課題/領域番号 |
08408027
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 敏一 大阪大学, 医学部, 教授 (00049397)
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研究分担者 |
船越 洋 大阪大学, 医学部, 助手 (40273685)
小清水 右一 大阪大学, 医学部, 助手 (50281126)
宮本 一政 大阪大学, 医学部, 助手 (60273679)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | HGF / 脂肪肝 / 肝硬変 / 慢性腎不全 / 心筋梗塞 / 脳虚血 / 遺伝子治療 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
1. ラットにエタノール含有飼料を与えると脂肪肝を発症する。脂肪肝を誘起したラットにリコンビナントHGFを7日間投与したところ、対照群では脂肪肝が顕著に進行するのに対し、HGF投与動物では肝細胞中の著しい現象、および肝機能の回復を認めた。 2. HVJ-リポソーム法を用いて肝硬変ラットに対するHGF遺伝子治療を行った。肝臓毒であるDMNをラットに投与すると約4週で肝硬変が発症し、7週以内で全例死亡したが、ヒトHGF遺伝子を骨格筋に導入したラットでは顕著な肝細胞死の抑制、再生促進に伴い肝機能の著しい回復がみられ、全例が生存した。 3. ネフローゼ自然発症マウスでは間質線維化の初期過程でHGFの強い発現を認めるが、その進行に伴いHGFの枯渇が認められる。またこのマウスにHGFの中和抗体を投与すると通常よりも急激な間質線維化の進行がみられる一方、HGFを投与することによりネフローゼの発症抑制、ならびに腎機能の改善が認められた。 4. ラットに左冠動脈結紮-再灌流を施し作製した急性心筋梗塞モデルでは、HGF投与により再灌流後の梗塞領域は対症群に比べて明らかに縮小し、心筋細胞死も顕著に減少しており、HGFは虚血-再灌流時における心筋細胞死に対して抑制効果を持つことが示された。 5. HGFは大脳皮質ニューロンに対し神経栄養因子として働き、グルタミン酸誘導性の神経細胞死を阻止した。 6. 総頚動脈を結紮-再灌流することで一過性脳虚血モデルを作製すると、海馬CA1領域の遅発性神経細胞死を誘起する。この神経細胞死はHGFの持続脳内投与により抑制されることを報告したが、さらに同モデルで発症する大脳皮質の神経細胞死も阻止することを明らかにした。 7. HGFアンタゴニストとしてHGFの分子内断片(HGF/NK4)を作製し、種々の癌細胞の増殖や浸潤を著しく抑制することを明らかにしてきたが、新たにHGF/NK4にはそれ単独で欠陥新生抑制因子としての活性を有していることを見い出した。HGF/NK4の投与により、ヌードマウス皮下に移植したLewis肺癌細胞等の癌細胞が誘起する腫瘍血管新生を強力に阻害し、腫瘍性増殖および転移を強く抑制した。
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