研究課題/領域番号 |
08408032
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 寿人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (70127083)
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研究分担者 |
蒲池 雄介 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (90263334)
東 雄二郎 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (30181069)
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キーワード | クリスタリン / δEF1 / T細胞 / 骨格形成 / SOX |
研究概要 |
1.δEF1による骨格形成の制御。δ-クリスタリン遺伝子の制御因子として同定されたδEF1はZnフィンガーとホメオドメインをあわせもつ転写制御因子で、ニワトリ・マウスの胚では、水晶体のほか、頭部神経冠、体節、肢芽などで特に強く発現されている。δEF1を完全に欠損するマウスでは、神経冠由来頭部骨格、脊椎、肋骨、四肢の長骨、指根骨の形態が異常になった。骨要素間の融合、位置の異常、部分的過形成/低形成などである。特に指根骨の異常は、Hoxd11-13,Hoxa11-13の欠損マウスで観察されたものと共通性がありδEF1とHoxの間の相互作用が示唆された。この表現型はC末端側のZnフィンガーのみの欠損では観察されない。 2.δEF1遺伝子による、T細胞系列の分化の制御。δEF1全体を欠失したものとC末端側のZnフィンガーのみを欠失したものの2つの突然変異マウスに共通してT細胞の分化の阻害が観察された。胸腺のT細胞が1/100程度にまで減少していた。c-kit陽性のT細胞前駆体がごくわずかしか存在しないことが要因の一つである。 3.水晶体誘導の対象としてのSox2/3の発現。Sox2/3は水晶体におけるδ-クリスタリン発現に必須な転写制御因子として同定された。Sox2/3の水晶体分化の初期過程での発現の変化をニワトリ胚で分析した。Pax-6を発現する外胚葉に眼杯が接近すると直ちに、眼杯に対する位置にSox2/3の強い発現がはじまり、次いでSox2/3発現領域が水晶体原基へと分化していった。外科的操作で眼杯を除くとSox2/3の水晶体領域での発現は失われ、水晶体分化もおきなかった。眼杯によるSox2/3の発現誘導は水晶体誘導の過程の重要な部分を占めると考えられる。
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