研究課題/領域番号 |
08408032
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 寿人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (70127083)
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研究分担者 |
蒲池 雄介 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (90263334)
東 雄二郎 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (30181069)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 水晶体 / 誘導 / SOX / クリスタリン / エンハンサー / トランスジェニックマウス / 外胚葉 / 網膜原基 |
研究概要 |
水晶体の場合に限らず、細胞分化・組織分化は幾つもの段階を経て進行するプロセスである。本研究では特に、分化の多段階性を大前提とした研究を計画することによって現象を整理し、各分化段階と転写制御因子の作用との対応付けに努めた。 水晶体分化とともに発現される、δ-クリスタリン遺伝子を制御する転写制御因子が、研究の手がかりを与えた。δ-クリスタリン遺伝子のエンハンサーの活性化に必要なSOX因子群である。また、水晶体の誘導に必要とされていたPax6も、研究の重要な対象とした。Pax6の外胚葉での発現は、網膜からの誘導作用への反応性を与える。その発現はN-mycに依存する。Pax6を発現する頭部外胚葉に網膜原基である眼胞が接すると、水晶体誘導が開始され、その眼胞が接した外胚葉領域にSox2,Sox3遺伝子の発現が始まる。このSox2/3の発現領域が肥厚して水晶体プラコードを形成し、次いで陥入して水晶体胞を形成する。この頃から、Sox1の発現が開始される。水晶体胞では、Pax6とSox1/2/3が均一に発現されている。水晶体胞の外側の上皮層は、そのまま水晶体上皮となって細胞分裂を続けるが、内側に位置する細胞は伸長して水晶体繊維を形成し、水晶体構造が完成する。水晶体の中では、増殖した上皮の周辺部分が弓状部(上皮と繊維の境界部)を経て繊維部分に送られ、繊維化して水晶体全体が成長する。水晶体が形成されるとPax6の発現は上皮部分に限られるようになり、おそらくPax6の第2の制御機能が発揮され、未熟な水晶体上皮状態を維持する。一方、Sox1が水晶体繊維の分化を促進する。
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