研究課題/領域番号 |
08409001
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10207649)
|
研究分担者 |
田中 俊逸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30142194)
長谷部 清 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70000859)
|
キーワード | 古環境変動 / 琵琶湖 / ピストン・コア / ICP発光分析 / ヒ素 / 古水深 / 放射化分析 |
研究概要 |
琵琶湖中央部で採取された比良沖約11m長さのコアと、白髭沖約15m長さのコアについて化学分析を行った。二つのコア中のTi/Al比は共に0.03〜0.04とほぼ一定の値を示した。Sm/Al比とTh/Sc比も0.0040〜0.0055と0.9〜1.2と、どちらもゆるやかに変動するものの、ほぼ一定であった。又、0.05〜0.07の範囲で二つのコア中のNa/Al比もほぼ一定であった。以上から、琵琶湖堆積物ではNa/Al比は風化に強い元素同士の含有量の比と同様に、堆積物の起源物質の変動の指標として有効であると考えられる。ただし、比良沖コアで3千年前付近にナトリウムとサマリウムの含有量に共に小さな不連続が見られ、これはいくつかの起源物質間での寄与の割合の小さな変動に起因している可能性もある。又、比良沖コアの2m以浅(現在から約1000年前以降)ではアルミニウムの含有量などに顕著な増大がみらえ、人為的な影響その他の要因について検討している。 次に、二つのコアでは共に鉄マンガン水酸化物相に含まれるマンガンの含有量に大きな変動がみられ、特に白髭沖コアでは顕著にみられた。この二つのコア間での違いは酸化還元状態の違いに起因するものなのか検討するため有機物分析を予定している。琵琶湖表層堆積物中のヒ素の含有量と堆積時の水深とは比例関係にあることがわかっているが、二つのコアに関して、堆積物中のヒ素の含有量にも15ppm〜35ppmと大きな変動がみられた。ヒ素の含有量は水深以外の要因からも影響を大きく受けると考えられる。一方、比良沖のコアに関して抽出した鉄の含有量は2.3〜2.7%とほぼ一定であった。また、水酸化物相中の鉄の含有量も堆積時の水深と比例関係にある事がわかっているので、比良沖のような堆積環境下では水酸化物相中の鉄の量が古水深の指標として、より有効である可能性がある。
|