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1998 年度 実績報告書

日本人の「武」の観念をめぐる倫理思想史的研究〜「文」との関係を中心に〜

研究課題

研究課題/領域番号 08451009
研究機関東京大学

研究代表者

菅野 覚明  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70186170)

研究分担者 遠山 敦  三重大学, 人文学部, 助教授 (70212066)
黒住 真  東京大学, 教養学部, 助教授 (00153411)
キーワード日本倫理思想史 / 文武 / 武士 / 武士道 / 仏教 / 儒教
研究概要

本研究は、従来、否定的イメージからのみ捉えられてきた「武」の観念の正当な位置づけを、対極としての「文」の観念との比較・対照を通じて、解明することを目的とする。
こうした目的の下、注目されたのが、仏教や儒教といった外来の体系的思想と交渉しつつも、決してそこに還元されることのない「武」の観念の固有の在りようであった。即ち、体系的思想が普遍的水準において人間存在を捉え、教説を確立しているのに対し、「武」の観念は常に固有名を伴う具体的生の在りようと切り離し得ない、なまの観念そのものとして存在しており、それらをいかに抽出するかという方法的問題をも含めて、研究が進められることとなった。結果、得られた知見及び成果として、以下が挙げられる。即ち、
1. 近世において、朱子学が幕藩体制の指導理念として採用されたが、それは根底において、「武」の観念との対立・葛藤を内に孕むものであった。朱子学及び古学と武士における他者論についての報告書所載論文、及び、幕府の儒官であった朱子学者室鳩巣の武士観をめぐる論文はそうした観点における成果の一部である。
2. 中世において、仏教思想と「武」の観念との交渉により、様々な文学芸能が成立することとなった。軍記物語をめぐる報告書所載論文は、そうした観点における成果の一部である。また、死をめぐって仏教思想と武士の思想を比較考察した同所載論文は、倫理学的見地から両者の異同を原理的に基礎づけるものである。
3. 従来典型的な武人的思想として取り上げられていた『葉隠』を倫理学的諸範疇との連関において再検討することを重点領域の一つとしたが、他者・言語・人間の尊厳・恋といったより広範な概念や、和歌や芸道といった文化的な諸事象との連関において、総合的な捉え返しが果たされた。『葉隠』をめぐる報告書所載の四論文は、その成果の一部である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 菅野覚明: "国学の展開と仏教" 仏教と出会った日本. 126-144 (1998)

  • [文献書誌] 菅野覚明: "日本仏教の特殊性をめぐって" 春秋. 400号. 38-41 (1998)

  • [文献書誌] 黒住真: "思想史を学ぶ" 歴史の対位法. 211-226 (1998)

  • [文献書誌] 黒住真: "思想と文学-領域をめぐる儒学・国学の運動" 国文学. 44巻2号. 120-126 (1999)

  • [文献書誌] 黒住真: "東洋日本思想における責任論" 地域文化研究紀要. 3号. (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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