1 本研究は、江戸時代に各地で制作された寺社縁起絵巻の美術史的、歴史的、宗教的、文学的意義を総合的に検討しようとするものである。第2年度、すなわち最終年度となる本年度においては、前年度の成果に加えて、都内に所在する下記の核心的な作品の調査、撮影、記録、分析などの諸作業を実施した。 ・若-王子縁起絵巻 3巻 東京都北区 紙の博物館蔵 ・平塚明神並別当城官寺縁起絵巻 3巻 東京都北区 平塚神社蔵 ・榧寺縁起絵巻 1巻 東京都台東区 榧寺蔵 2 国内諸地域に散在する江戸時代寺社縁起絵巻、および絵巻以外の画面形式(掛幅や絵馬額など)の同縁起絵の調査を、東京を中心とする関東、福岡を中心とする北九州、京都・滋賀・奈良の関西、愛知・三重の中京といった地域において実施した。併せて、それら諸地域の美術館・博物館学芸員、図書館の司書、教育委員会の調査員らと情報や知見を交換した。 3 本研究の主たる研究対象である江戸時代寺社縁起絵巻のほか、関連の先行寺社縁起絵巻に慣用される図像を、デジタルカメラとパーソナルコンピューターにより収集し、それらの整理、分類、分析を試行した。 4 2年度にわたる研究成果を冊子体の報告書にとりまとめ、関係方面に配布した。
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