(1) 「眼の動きを指標とした笑いの文化差と文脈差の抽出」 笑いの表情のなかでは、けっして唇の動きばかりが重要な役割を果たすわけではない。眼の動きも同様に、大切な役割を果たす。そこで、最終年度には眼を覆わずに自然な笑いを記録し、唇の動きを抽出したのとおなじ技法を用いて、眼の運動の比較検討を行った (2) 「研究のとりまとめと資料の整理統合」 集められた観察資料の整理保管はひとつの、大きな作業になる。得られたデータは、将来のためにも整理し適切に保管して、公に公開可能な状態にしておくことが望ましい。その作業を行う。過去2年間の実験によって、日本人と外国人の自然な笑いおよび作為のある笑いのテープと、彼らがそれをどう知覚しているかに関する実験の資料が、十分に蓄積されている。本年度はそれらをとりまとめ、学会発表と成果の公刊を行った 外国人の笑いの分析結果は、牧野がとりまとめ、他方、日本人の笑いについては、正高がまとめた。また笑いの差異の知覚についても、正高が担当した。個々の研究者が自分のぶんについて7月までに整理をおこない、ついで双方が筑波にて、データの照合を行いそのための国内旅費を計上した。そののち成果を8月にカナダでひらかれる、第13回国際人間行動学会のシンポジウムで発表した。
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