本研究は、平成8年度より3年間の計画で行われるもので、本年は、2年目に当たる。昨年度の、先行研究のレヴュ-、実験実施のための準備を踏まえ、本年度は、青年(大学生)との比較における高齢者の顕在潜在記憶に関する実験を行った。 この実験は、顕在記憶テストとして再認テスト、潜在記憶テストとして絵画完成テスト、一般的知識テストを用い、エピソード記憶知覚的プライミング、概念的プライミングを測定しようとするものである。学習材料は、単語(名詞)と線画(テレビ、ネコなど日常的なもの)であった。結果は、次のようであった。高齢者は青年と比べ、絵画の再認より単語の再認において、より低下が認められる。また、同じく青年と比べると知覚的プライミングは同じ程度であるが、概念的プライミングにおいて低下が認められた。全体としては意味記憶システムにおける加齢効果を示した。
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