研究課題/領域番号 |
08451029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
倉戸 ヨシヤ 大阪市立大学, 生活科学部, 教授 (70104726)
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研究分担者 |
篠田 美紀 大阪市立大学, 生活科学部, 助手 (10285299)
松島 恭子 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (20132201)
岩堂 美智子 大阪市立大学, 生活科学部, 教授 (30047295)
杉村 省吾 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (40085212)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 被災地域 / 教師 / ストレス |
研究概要 |
I 因子分析による比較 因子抽出は主成分分析により、また回転法はKaiserの正規化を伴うバリマックス法によった。1.[男女による比較]男女で性差がみられたが、男性では震災年(n=53)に枯渇状態(第1因子)、達成感(第2因子)、やる気・理解・処理能力(第3因子)、乖離状態(第4因子)であったものが、1年半後(n=46)では達成感・やる気が第1因子にあがってきている。同時に、欲求不満・枯渇状態(第2因子)や苦痛・自責の念、乖離状態がみられている。女性では震災年(n=52)には達成感(第1因子)、無関心・自責の念(第2因子)、乖離・苦痛状態(第3因子)、枯渇状態・疲労(第4因子)であったものが、1年半後(n=64)には自責の念・乖離状態、(第1因子)がのぼってきている。理解・処理能力(第2因子)、やり過ぎ・達成感、疲労・枯渇状態となっている。2.[管理職とそうでない教諭による比較]管理職は震災年(n=14)には枯渇状態が第1因子で、達成・疲労状態(第2因子)、乖離状態が続いていたが、1年半後(n=4)にはやり過ぎ・自責の念(第1因子)が出てきて、達成・疲労状態、枯渇状態と続いている。管理職でない教諭は震災年(n=78)には達成感が第1因子で、苦痛・不満状態(第2因子)、枯渇状態、乖離状態が続いているが、1年半後(n=87)にはやはり達成感が第1因子であった。しかし、枯渇状態、乖離状態、困惑状態と続いている。3.[避難所での援助活動]避難所で3日以上援助活動に従事した教諭(n=126)では達成感が第1因子であったが、疲労・枯渇状態、無感情、乖離状態が続いている。一方、避難所で援助活動に最小限もしくはほとんど従事していない教諭(n=89)では理解・処理能力・達成感が第1因子にのぼっているが、乖離・自責の念・欲求不満、枯渇状態、策に窮するとなっている。 II ワークショップでの震災や援助活動の振り返り 4回開催された「教師のためのストレス・マネジメント」のワークショップでの参加者は120名に登った。そこでは倉戸(研究代表者)が試案した「ストレス・マネジメント」の形式にしたがって各ワークショップ約4時間をかけて実施した。膨大な録音記録を起こして分析されたが、1)震災は衝撃的で自らの人生を振り返ったり意味を考えさせられる契機になった。2)人間は捨てたものではないとの肯定的経験と、人間は弱く、醜い存在だとの悲観的経験をしたもの、あるいは両方を同時に経験したものがあった。3)校長・教頭という管理職とそうでない教諭との間には立場・役割の相違からか、援助活動に対して相違がみられた。4)管理職・そうでない教諭いずれも枯渇状態にあり、両方に対して「心のケア」の必要性が痛感された。
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