本研究の概要は次の通りである。 平成8年度および平成9年度においては1)不登校に関する文献、資料の収集と検討および事例の収集、2)不登校に関連する変数の理論的な検討、3)不登校に影響している変数の検討のための調査用紙の作成と実施、4)不登校に影響する変数の抽出、5)不登校に影響する変数の抽出、6)実態調査および事例の検討による「登校刺戟」の理論の構成、7)不登校の原因と登校拒否の段階による不登校のタイプの分類、8)不登校の原因による教師用分類テストの作成、9)「年齢(発達)」を考慮した不登校の分類の検討が行われた。平成10年度においてはそれまでのデータを基に「不登校タイプ別、発達段階別、経過段階別の72の対応マニュアルの作成」を中心に研究が行われた。すなわち平成8年度では、現場の教師や大学生に考える対応、平成9年度には、事例の中でみられる対応、平成10年度では、教師はクラスの不登校児にどのように対応したらよいかを中心に研究が行われた。 不登校タイプ別、発達段階別、経過段階別の対応マニュアルの形式は、 1)心理学に理論別対応表、2)登校刺激の分類を因子分析による8つの登校刺激からおよびケースに基づく10の登校刺激の抽出、3)不登校タイプ別、発達段階別、経過段階別の72について3段階(○△×)の登校刺激の専門家(現場教師を含む心理学の専門家)による3段階評定となっている。以上の手続きに基づき、教師のための不登校対応マニュアルの形式を決定した。全体の流れとしては(1)「不登校分類チェックリスト」、(2)「不登校経過チェックリスト(年齢別)」、(3)「不登校対応マニュアル」の順に行う方法とした。「このタイプの不登校児への対応の基本」は、このタイプの不登校児への対応として行なうことが望ましいと考えられる対応に○、特に必要の無い活動に△、行なわない方がよいと思われる活動に×が記された。この10の対応のうち、1から8までは、教師および心理学の専門家による不登校児への対応についての調査から、因子分析によって抽出された内容であり、9と10は、学校でのクラスの問題と家庭での対応についての内容である。これも上記の対応の原則と同様に現場の教師および心理学の専門家において3年間に渡って検討されてきたものである。
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