研究課題/領域番号 |
08451034
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
不破 和彦 東北大学, 教育学部, 教授 (60004115)
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研究分担者 |
高橋 満 東北大学, 教育学部, 助教授 (70171527)
萩原 敏朗 東北大学, 教育学部, 教授 (70004124)
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キーワード | 東北地方の産業構造 / 東北地方の若年労働力構成 / 技術先端型産業 / 高度技術工業集積地域開発 / 新規学卒者の就業構造 / 高校の進路指導 / 高校生の進路希望 |
研究概要 |
本共同研究は、1980年代以降の東北地域を対象に、電気・電子機器産業を主体とする技術先端型産業の進出とその後の拡張の状況を時系列的かつ地域別に追跡しながら、東北地域の産業構造に与えてきている影響、地域労働市場の動向と就業構造の変動などを全体的に把握・分析し、併せて高校生を中心とする若年者の進路をめぐる意識と行動、高校側の進路指導との関連性の解明に取り組んできた。本研究による成果は以下に集約できる。 (1)技術先端型産業の東北地域への進出とその後の拡張に関しては、福島県を筆頭に山形県、宮城県の東北南三県が圧倒的に優位さを形成し、秋田県、岩手県そして青森県の東北北三県との間に大きな格差を造り出している。このことは東北産業全体をめぐる両地域間の格差を物語っている。(2)技術先端型産業の進出が電気・電子機器産業を中心に積極的に見られる東北南三県では、これに伴う関連産業の県外からの進出および地元企業の設立などを促し、地域労働市場の労働力の吸引力拡大に結びついている。このことは新規高校卒者および若年成人層に地元就業を可能として、また地元就業志向の強化をもたらしている。この点は福島県会津若松市を中心とする隣接地域での実態的な聞き取り作業からも明らかである。一方、東北北三県の状況はきわめて対照的である。ただし、東北地域を代表する技術先端型産業の拠点である秋田県仁賀保町では、東北北三県の前述した基本的な動向とやや様相を異にしている。(3)地域労働市場と若年労働力の吸引構造の違いは、高校における進路指導の在り方さらには高校生の進路をめぐる意識と行動にも大きな影響を与えている。特に、地元への就業を強く希望する高校生の進路志向と現実に県外または東北地域外への転出型就業を強いられる東北北三県での進路指導は、高校さらには家庭に様々な問題を投げかけていることが指摘できる。
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